デジタルファッション・クリエイターのための法的考察

デジタルファッション・クリエイターのための法的考察

デジタルファッション・クリエイターのための法的考察

1000 648 Yusuke Hisashi

ファッションブランドは、競合他社と差別化するために、独自のデザイン・ロゴ、その他の知的財産(IP)の開発に多大な時間、資金、労力を投じています。今日のデジタル技術はこうした取り組みを後押しする一方で、模倣品業者などの悪質業者による知的財産のオンライン上の盗用や複製を一層容易にしているのも事実です。ファッションブランドは、苦労して獲得した知的財産を保護するために、資産を守り、権利を行使するための積極的な措置を講じる必要があります。そのためにはファッション、商標、著作権に精通した弁護士に依頼するのが有効です。

これまでは、実用特許、著作権、商標、デザイン特許などがブランドを保護するために使われてきました。実際、ファッション技術の領域では、特許出願は依然として有力な保護策となっています。より多くのブランドがWeb3の機会を利用し、物理的領域とデジタル領域を「phygital(physical+digital) 」プラットフォームへと融合させ、市場での地位を確立し続けているため、この分野における特許出願は増加傾向にあります。デジタルファッション専門弁護士は、クライアントの技術や製品が特許に値するかどうか、また、特許出願や権利行使が有効な保護策となるかを判断することができます。また、特許等の知的財産権に精通した弁護士は、クライアントが不注意に他者の商標、著作権、実用特許、意匠権を侵害するのを防ぐための調査も行うことができます。

このような従来の知的財産保護の形態を十分に理解することは必要であり、これらのイノベーションのいくつかの側面に適用することができますが、それだけでは十分ではないかもしれません。ファッション企業やデザイナーは、Web3に特化した弁護士に依頼することで、さらなる保護と保証を得る必要があると言えます。

Web3領域における知的財産保護の重要な課題には、この技術がまだ比較的新しく、急速に進化していることがあります。このため、この分野の知的財産権に関する法規制はまだ十分に整備されておらず、専門外の弁護士がクライアントの知的財産を完全に保護することは困難なのです。多くの Web3 プラットフォームは分散型であるため、侵害者の特定や対策が難しく、ファッション業界の関係者は、デジタルメディア、拡張現実、ブロックチェーンアプリケーションに詳しい専門家に法的アドバイスを求めることが得策です。

そうすることで、ファッション企業のオンライン上の存在感やワークフロー、書類作成に潜在する脆弱性を特定し、それを改善するための措置を講じることができます。さらに、スマートコントラクトや非代替性トークン(NFT)の使用など、Web3分野のユニークな特性を考慮した包括的IP戦略をクライアントと共同で開発することができます。

ファッション業界のクライアントは、ロゴ、デザイン、ブランディングを含むWeb3イノベーションの商標、著作権、実用・意匠特許の登録の支援だけでなく、第三者によるブランド関連のコンテンツの使用状況を追跡・監視するためのデジタルツールの構成と活用方法についてもアドバイスできる弁護士と提携するとよいでしょう。例えば、画像認識ソフトは、ソーシャルメディア上の著作権侵害の疑いをファッションブランドに通知することができます。同様に、ブロックチェーン基盤の追跡ソリューションは、展示品や販売品の真正性や出所を追跡するのに役立ちます。ファッションおよび知的財産権専門の弁護士は、侵害の疑いがある場合にどのように対応すれば良いかを熟知しています。その選択肢としては、停止命令書の送付、訴訟の提起、損害賠償請求、法執行機関と連携した侵害サイトの閉鎖などが挙げられます。しかし、法的措置には時間と費用がかかることに留意するする必要があります。知識の豊富な弁護士であればどの方法が最良の選択かをアドバイスすることができます。

ファッションブランドにとって、侵害コンテンツ削除のため、オンラインツールを利用することは有益かもしれません。例えば、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、ウェブサイトから侵害コンテンツを削除する通知を提出したり、BrandShieldなどのサービスを利用してeコマースサイトの偽造品リストを監視して削除したりすることもできます。

デジタルファッションの新興企業は、簡単に識別でき、競合他社と区別できるブランド・アイデンティティを確立するために、弁護士の支援を求めることができます。これには、珍しい色や柄を使ったユニークで一貫性のあるロゴの作成、強力なソーシャルメディアプレゼンスの構築などが含まれます。認知度の高いブランド・アイデンティティを確立することで、模倣品業者による製品の複製が困難となり、顧客は正規の製品を容易に見分けることができるようになります。

ファッションブランドは、業界団体や組織と協力することで、オンライン上の知的財産保護に有利になることがあります。例えば、国際模倣対策連合(IACC)は、企業が知的財産を保護し、模倣品業者に対して法的措置を取るのを支援する非営利団体です。また、米国税関・国境警備局(CBP)とアメリカ合衆国移民・関税執行局(ICE)は、企業の知的財産を保護し、偽造品の輸入を阻止するためのプログラムを実施しています。

デジタルファッションが成熟化し、メタバースと従来のリテールの両方に統合されるにつれ、業界のプレーヤーは、潜在的なパートナーシップ、流通、マーケティングの機会を与えられるようなります。この分野に特化した契約書やその他のビジネス文書を査定、交渉、作成した経験のある法律事務所は、クライアントに明確な利益を提供することができます。このような弁護士は、契約書にすべての当事者の権利と責任が明記されていること、法的拘束力があること、遵守しなかった場合の結果が明示されていることを確認します。

ファッションに特化した法律事務所は、これらの契約書に含まれるその他の一般的条項についても検討します。ファッション等のクリエイティブ系のクライアントは、自分たちのデザインがどのように使用されるのか、流通方法について発言権があるのか、他の流通業者やライセンサーと同様の契約を結ぶことが認められるかを知りたいと思うでしょう。もし契約がある地域の独占契約であれば、その対象となる期間と満了が契約の終了を意味するのか、それとも単に独占権の終了を意味するのかを明示的に記載する必要があります。クリエイターが放棄する権利が大きければ大きいほど、デザイナーはより高い報酬を期待することができるのです。

ファッション業界が Web3 空間への進出を続ける中、ファッションブランドは、これらのイノベーションに対して実用・意匠特許、商標、著作権の保護を求めることが重要です。ファッションや高級ブランドのデジタル需要は、2030年までに500億ドルに達すると推定されており、デジタルファッションのデザインや体験に関する知的財産権の保護は、ますますその必要性を高めていくことになるでしょう。このようなイノベーションを開発・実施する際には、早い段階で知的財産権の専門家と相談し、自らの保護と技術活用を最大化することが、クライアントにとって最善の選択となるのです。


ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、複雑な最先端のビジネス分野において、厳選されたクライアントをサポートするWeb3企業です。ダイナミックなビジネス環境で成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要な法務サービスを提供いたします。貴社のビジネスニーズについて、今すぐご相談ください

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Yusuke Hisashi

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