バイデン政権は暴力的なビデオゲームを規制するか

バイデン政権は暴力的なビデオゲームを規制するか

video games lawyer

バイデン政権は暴力的なビデオゲームを規制するか

1000 648 David Hoppe

親、教育者、心理学者、政治家、そしてクリエイターは、暴力的な映画、テレビ番組、その他のエンターテインメントの影響について、以前から討論を続けています。例えば、人気のビデオゲームの多くがプレイヤーに、敵を殺す、乗り物を破壊する、物を爆破するなどのプレイをさせています。子供たちはリアリティーのある暴力行為をバーチャルに楽しむことも多く、ビデオゲームが若者の行為に悪い影響があるのではとの懸念が生まれます。

この問題は、副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員が、カリフォルニア州の司法長官だった時に関わった2011年の案件に起因しています。政治の潮流が変われば、アメリカでビデオゲームにおける暴力行為の抑制を目指した規制や法律が増えるのでしょうか。ハリス上院議員のこの案件との関わり方を見た時、バイデン政権のビデオゲーム業界への対応について、どんな解釈ができるでしょうか。この案件は共和党の知事だったアーノルド・シュワルツェネッガー氏の下で2005年に出されたカリフォルニア州の法律が発端です。当時の司法長官だった民主党のジェリー・ブラウン氏が2011年に州知事に選出され、ハリス氏が司法長官の座に着いた時でした。

リアリティーのある暴力的なゲームに興じれば、実際の生活でも暴力的になり反社会的な行動をとるようになると推測することは論理的なように思えますが、この仮説を支持できる科学的な証拠はほとんどありません。それにもかかわらず、若者が学校での銃撃事件など衝撃的な事件を犯すと、政治家たちはあらゆる政治的スペクトラムを超えて、その理由をビデオゲームだと指摘することが多いのです。

ビデオゲームと暴力行為の間のこうした曖昧な関係性は、未成年へのビデオゲーム販売に関する多くの州レベルの規制のきっかけになってきました。一般的に、そうした規制は米国憲法修正第1条で保護される表現の自由に反する違憲的な制限だと見なされてきました。しかし、目前に迫る大統領選挙が司法機関や行政機関にもたらす変化が、今後のゲーム業界にどのように影響するのかを考えずにはいられません。.

ブラウン対エンターテインメント商業協会の案件を再考する

2011年のブラウン対エンターテインメント商業協会の案件で、合衆国最高裁判所は、カリフォルニア州が下した暴力的なコンテンツに基づくビデオゲーム販売規制が違憲であるとの判決を出しました。この法案では、親の承諾なく18歳未満の子供に特定の暴力的なビデオゲームを販売することが禁止され、違反すれば最高で1000ドルの罰金が科されることになっていました。

作品のコンテンツに基づく言論や表現の自由の制限が、合衆国憲法修正第1条の下で許されることは稀です。当然、少数ではあるものの、この規制に対する例外もあり、特に異常に憎悪的、卑猥、または暴力を誘発すると考えられるものです。

最高裁判所はどのようにして判決に至ったのか

高等裁判所は、合衆国憲法修正第1条で保護されていない「卑猥」とされる言論に関わる規制案件でよく使用される法的指標のミラー・テストを採用し、最終的に最高裁判所がこの法律を違憲だとする下級裁判所の意見に同意しました。

他のメディアと同じく、ビデオゲームは合衆国憲法修正第1条で保護される言論と考えられます。アントニン・スカリア判事(故人)が記した最高裁判所の意見書では、カリフォルニア州は暴力的なビデオゲームが、実際の暴力を促進したという証拠を全く提出していないと結論しています。従って、コンテンツに基づく言論の自由の制限を法的に正当化できる合理的な根拠はありませんでした。エンターテインメントソフトウェア協会とエンターテインメント商業協会には、下級裁判所の弁護料としてカリフォルニア州から37万ドルが支払われました。後に、カリフォルニア州は、最高裁判所の裁判料として追加で95万ドルを支払うことに同意しています。

政治変化は法律の変化をもたらせるのか

ビデオゲーム業界は勝訴したが、最高裁判所の中には、この案件は将来的に再度考慮すべきだとほのめかしていた裁判官もいました。その将来もそう遠いものではないかも知れません。現在の世論票数では、あと1週間でハリス氏が副大統領になることもあり得ます。連邦政府の後押しを得た場合、彼女の過去のゲームに対する政策は、バイデン政権下におけるビデオゲーム業界の将来を暗示しているようです。

過去の公的声明によれば、バイデン氏、ハリス氏、トランプ大統領は、実際の暴力と血がたくさん出てくるビデオゲームには関係性があるという間違った推論を信じているようです。しかし、キャンペーンの圧力が増す中、すでに映画と音楽の両業界を合わせたものよりも巨大に成長したビデオゲームについては、どの候補者もあまり議論をしていません。バイデン氏は、最近になってその立ち位置から少し後退し、暴力的なビデオゲームは不健康だが銃撃による大量殺人の原因ではないとしています。

バイデン政権の銃規制政策が架空の暴力の規制も含む可能性は、ますます高まっています。最近の声明でハリス氏は、「違法な銃販売企業」の定義には、ビデオゲームで子供に対人殺傷用の武器を販売して過失法違反を冒した個人も含まれると明確に発表しています。これが彼らに共通する視点を表しているとすれば、彼女とバイデン政権は、おそらく銃による暴力行為と暴力的なビデオゲームの間には直接的な関係性があるとする意見を貫くと思われます。

エイミー・コニー・バレット氏とゲーミングの将来

エイミー・コニー・バレット氏の最高裁判所判事への指名が確実視されるにつれ、暴力的なビデオゲームに対する司法側の将来の態度も変化する可能性があります。この指名は上級裁判所における保守派の劇的な転換点となったり、裁判所にリベラルな判事を押し込むという民主党の報復を刺激することにもなりかねません。スカリア判事の助手でもあったコニー・バレット氏の視点は、かつての最高裁判所判事アントニン・スカリア氏とほぼ同じです。しかし、それはビデオ内の暴力行為が実際の暴力に繋がるとするトランプ政権の観点に基づいた新たな先例が生まれるということになるのでしょうか。おそらく答えはノーです。

ブラウン対エンターテインメント商業協会の判決書は、アメリカで最も保守的な法的意見の先導者とされるスカリア判事が記したものです。将来の判事とされるコニー・バレット氏にとって、スカリア氏は彼女の指導者でもあった人物で、彼女はコンテンツに基づく制限は違憲だとするスカリア氏の意見を強く支持すると思われます。

バイデン政権下でビデオゲームは制限されるのか

最高裁判所は、ブラウン対エンターテインメント商業協会の案件で、将来的に裁判所が未成年への暴力的なビデオゲームの販売に関して別の判決を下す可能性を示唆していました。クラレンス・トーマス判事とスティーブン・ブレイヤー判事は、未成年に対しては親が権威を握っており、未成年に意見する権利は親や保護者を通さなければならないと異論を唱えました。

この判決以降には、ビデオゲーマーは職場に持ち込めるスキルを持っているため、社員としてより魅力的だという報告も出ています。間違いなく、これらのスキルによる貢献は、暴力的なビデオゲームの悪影響を凌ぐものです。そのため、エンターテインメント商業による先例やビデオゲーム、その他のメディアにおける暴力的なシーンに対する制限が覆されることはあり得るかもしれませんが、そうした方向に法律が変わることはまずないでしょう。

Gamma Lawはサンフランシスコに拠点を置き、最先端のビジネスセクターのお客様をサポートしています。複雑でダイナミックなビジネス環境で成功するために必要なサポートを提供し、イノベーションを促進し、国内外におけるビジネス目標達成のお手伝いをいたします。お客様のビジネスニーズに関するご検討は、ぜひ弊所にご連絡ください

Author

David Hoppe

All stories by: David Hoppe