批判の声: インフラ法案の暗号資産条項は 新興技術企業を苦しめる

批判の声: インフラ法案の暗号資産条項は 新興技術企業を苦しめる

批判の声: インフラ法案の暗号資産条項は 新興技術企業を苦しめる

1000 648 David Hoppe

数ヶ月にわたる交渉の末、米国上院は8月にインフラ法案を可決しました。正式名称は「Infrastructure Investment and Jobs Act(インフラ投資および雇用に関する法律)」で、超党派であるこの法案は、バイデン大統領が掲げる広範的経済政策の一環です。2,700ページに及ぶこの法案は、ビデオゲーム開発者やその他の新興技術企業に影響を与える可能性のある暗号規制の修正を提案しています。

インフラ法案について

1.2兆ドル規模のインフラ法案は、バイデン大統領の経済政策を実現するために、チャック・シューマー上院院内総務とナンシー・ペロシ下院議長が立てた2本立ての立法戦略の第一弾です。69対30で可決されたこの法案には、道路、橋、電気自動車、ブロードバンド、サイバーセキュリティ、水道、電力網の復興など、重要なインフラ整備のための資金が含まれています。この法案を可決するために、共和党の支持と引き換えに、多くの民主党員が望んでいた社会プログラムへの支出が削られるという、ある種の妥協が強いられました。これらの社会プログラムへの投資は、後に審議される3.5兆ドルの巨大法案に組み込まれる予定です。

この法案には、国内のブロードバンド・インフラを改善するための650億ドルの投資が含まれています。その目的は、連邦政府から資金援助を受けている企業に対し、手頃な料金プランの提供を義務付けることで、インターネットサービスのコストを削減することにあります。また、既存のプロバイダーが十分なサービスを提供していない地域での競争を促進することにより、価格の透明性を図ることも目的としています。業界関係者は、この義務化によりビデオゲームが活性化する可能性があるものの、ゲーム開発者にとってはこの法案が多くの弊害をもたらすかもしれないと述べています。

暗号関連条項の潜在的影響

上院の法案では、暗号通貨ブローカーが、顧客が計上したリターンや利益に関する特定の情報を内国歳入庁(IRS)に報告することを求めています。1万ドル以上の取引の報告を義務づけた既存の法律と合わせて、この新規制により、IRSはデジタル資産の譲渡を容易に追跡できるようになります。最終目的は、明らかに、個人のキャピタルゲインや所得を把握して税金を徴収することにあります。この規定は、従来の証券会社が株式や債券の売却を報告する義務があるのと同様です。これは米国がデジタル資産を証券として扱う傾向に動きつつあることを示しており、NFTも今後同様に扱われる可能性があると言えます。業界の擁護者たちは、暗号関連条項はいくつかの理由から法的・規制的に複雑なものになると述べています。

  1. 曖昧さ

一部のコメンテーターによると、「ブローカー」という言葉の定義は曖昧であり、マイナー、ステーカー、ソフトウェア開発者など、あらゆる種類の暗号通貨取引に関わる人がその範囲に含まれる可能性があるとのことです。というのも、この法案では、ブローカーを「他人に代わって定期的にデジタル資産譲渡サービスを提供する責任を負う者」と定義しているからです。

  1. 有害な経済的影響

ブロックチェーン協会によると、インフラ法案には有害な報告要件が含まれており、米国のクリプト業界の多くの企業はこれを遵守することができないとしています。煩わしい規制や、コンプライアンス違反による多額の罰金を避けるために、多くのクリプトプレーヤーは事業を海外に移転せざるを得なくなり、潜在的な雇用や将来の経済成長を失うことになります。

  1. プライバシー問題

デジタル権利擁護団体は、提案されている暗号関連条項に関するプライバシーへの懸念を提起しています。IRSが顧客の名前、住所、取引内容の収集を義務付けているということは、暗号通貨を取り扱い、使用し、支払い方法として受け付けているほぼすべての企業が、突然、ユーザーの個人識別情報を保存することを強いられる可能性があるということです。これは確かに、プライバシー及びセキュリティに関する問題を提起します。電子フロンティア財団(EFF)やFight for the Futureなどのデジタル権利擁護団体は、市民の市民的自由を脅かすとし、暗号規制を再考するよう議員たちに求めています

  1. 非金融的意味合い

インフラ法案に対するもうひとつの批判は、暗号技術は(デジタル)マネーが全てではないということです。クリプト業界の多くは、金融商品の取引を中心としたものではなく、デジタルアートの収集や低帯域幅の無線ネットワークの展開など、幅広い活動に及んでいます。このような企業がユーザーの詳細な情報を収集し、納税申告を行うことは、技術導入やイノベーションを阻害する可能性があります。

結論

インフラ法案の暗号資産条項は、新興技術企業のクリプト及びブロックチェーン技術の革新と実行、さらには将来的ビジネス及び規制の面においても広範囲な影響を与える可能性があります。 

上下両院の交渉者は、上院案に対する業界の反対意見を考慮するかもしれません。これらの法案は、下院のINVEST in America Actの修正案として可決されたため、大統領の署名を得るために法案を送付する前に、両院が1つのバージョンに合意する必要があります。もし上院の暗号修正案が法制化されたとしても、その影響が完全に明らかになるまでには時間がかかるでしょう。それでも、暗号業界関連企業は、潜在的な新要求事項に対応し自社のビジネスモデルを評価するために、いち早く準備を進める必要があります。 新興技術分野に精通した弁護士に相談し、IRSの報告規定が自社にどのような影響を与えるかについて、個別にアドバイスを受けることが最も賢明な行動といえるでしょう。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境で成功するために必要なサポートを提供し、イノベーションの限界を広げ、米国国内及び国際ビジネス目標を達成することを目指しています。あなたのビジネスニーズについて、今すぐお問い合わせください

Author

David Hoppe

All stories by: David Hoppe