数十億ドル規模のファンタシースポーツを変革するNFT

数十億ドル規模のファンタシースポーツを変革するNFT

数十億ドル規模のファンタシースポーツを変革するNFT

1000 648 David Hoppe

非代替性トークン(NFT)が、ファンタシースポーツで再び話題になっています。2021年9月、フランスのスタートアップ企業Sorare社は、ファンタシーフットボール(サッカー)のプラットフォームのために、多額の資金、正確には6億8000万ドルを調達したと発表しました。この新しいフォーマットの特徴は、ファンタシースポーツにブロックチェーン技術を連結させて、ファンタシーリーグ内の取引を追跡するノンファンジブルトークン(NFT)を使用していることです。NFTに懐疑的な人もいるかもしれませんが、ファンタシースポーツ企業は生き残り、成長していくに違いありません。

今なお最高位にあるファンタシースポーツ

ファンタジースポーツは、オンラインゲームのプラットフォームで、参加者がプロスポーツ選手をドラフト、契約、管理、トレードして自分のチームを作り、他チームの「オーナー」と、週単位のリーグで直接対決したり、シーズンを通した「ロティサリー形式」で得点を競うことができます。選手の実際の試合での成績に応じてポイントが付与されます。2019年のファンタシースポーツの収益は29億ドル、この分野の評価額は約72.2億ドルでした。この業界は、特にNFTが加わったことで、減速する気配はほとんどありません。Research and Markets社によると、世界のファンタシースポーツ市場は、2020年から2025年にかけて5%のCAGR(年平均成長率)が見込まれています。 特に、インターネットアクセスや5Gネットワークが普及していく中で、ファンタシースポーツリーグの成長機会は無限となりました。アライド・マーケット・リサーチ社は、ファンタシースポーツの収益は2027年には486億ドル、2021年から2027年にかけてのCAGRは13.9%に達すると予測しています。

ファンタシースポーツで拡大し続けるNFTの役割

2021年、NFTはファンタシースポーツのオールスター的役割を果たしており、企業は自社のプラットフォーム上で新規カードを発行することで数百万ドルを稼いでいます。これらの企業は、世界中の何千台ものコンピュータに分散されたブロックチェーン技術を用いて、誰がどの「カード」を所有しているかを記録し、全ての購入・販売が正確かつ明確であることを保証しています。

  • Sorare(ソラーレ) : 特にSorare社は、NFTとファンタシーフットボールのプラットフォームに独自のアプローチをとっています。同社は、イーサリアムのブロックチェーン上で、NFTの購入、収集、取引を中心としたファンタシー・スポーツリーグを構築しました。同社は、欧州の巨人であるレアル・マドリード、リバプール、ユヴェントスなど、180のサッカー団体と提携しています。また、ジェラール・ピケ、アンティエ・グリーズマン、リオ・ファーディナンドなど、欧州の現役及び元トッププレーヤーも出資しています。2021年1月以降、同社のオンラインプラットフォームでは、1億5,000万ドル以上のNFTが取引されており、2020年第2四半期から2021年第2四半期にかけて売上高が50倍に増加しています。現在の評価額は43億ドルで、登録ユーザーは60万人、カードを売買・交換するユーザーは月15万人です。Sorare社は、オークションを通じて自社プラットフォームで新規カードを発行することで収益を得ており、OpenSeaやRaibleなどのプラットフォームでも販売することが可能です。
  • NBA Top Shot :2020年10月にオープンして以来、NBA Top ShotはバスケットボールをテーマにしたNFTの売上で5億ドルを生み出し、80万人以上のユーザーを魅了していますNBA Top ShotのデベロッパーであるDapper Labs社は、現在26億ドルの価値があり、ハリウッドスターや現役のNBA選手、マイケル・ジョーダン元選手など、有名な投資家のラインナップを誇っています。他のプラットフォームと同様に、参加者は好きな選手の公認ビデオハイライトを売買することができます。購入者は、映像の著作権を得ることなく、NFTの所有権のみを得ることができます。NBAとDapper Labs社との契約に基づき、購入者はNFTを分割したりコピーしたりすることはできず、契約に明示された取引のみが認められます。Top Shotは最近、レブロン・ジェームズ選手のハイライトNFTを200,000ドル以上で販売しました。
  • Ultimate NFT:新たに設立されたUltimate NFTは、さらに一歩進んだプラットフォームです。NFTとファンタシーフットボールに、プレイ・トゥ・アーン(プレーして稼ぐ)のシステムを加えたファンタシー・スポーツ・プラットフォームが設計されています。プレイヤーはNFTを使ってファンタシー・ダイナスティを構築し、ゲームに登場している現実の選手のパフォーマンスに基づいてポイントを集めます。Ultimate NFTでは、スマートコントラクトを利用することで、「中央集権的権力者」の介入を受けずにプレイヤーが稼げるようにし、ボーダレスな取引を可能としています。Ultimate NFTのコンテンツは、2021年10月中旬/下旬のローンチを目指しています。

NFT、ファンタシースポーツ&リーグに関する法的問題

ブロックチェーン、トレーサビリティ、スマートコントラクト: 前回の弊所ブログで解説したように、ブロックチェーンは、ブロックチェーン上に保存されているスマートコントラクトを通じて、NFTを追跡・調査するために不可欠です。スマートコントラクトは、NFT関連の権利を行使するために、従来の契約と併せて使用でき、ブロックチェーンプラットフォーム上に存在する、特定の、取消不能な、自動的に実行される契約です。取引は透明性があり、追跡可能で、取り消すことができません。NFTに関しては、イーサリアムがスマートコントラクトネットワークの主流であり、スマートコントラクトはイーサリアム仮想マシン(EVM)上で実行されます。このようなオンラインのスマートコントラクトは、統一商事法典(特に第9条)や契約法に基づいて強制力を持つ可能性があります。スマートコントラクトは、約束の成立と執行を自動化することで、あらゆる種類の拘束力のある契約において双方の実行能力を向上させることができます。スマートコンタクトは、カード製作者の知的財産権を侵害したり、プラットフォームにカードを不正に入力したり、プレイヤーのNFTをコピーしたりするような不正行為の防止目的として主に設計されています。

ライセンス権:NFTは、スポーツのイメージライセンスをめぐる法的状況を一変させました。NFTに芸術作品や音楽、スポーツ選手が関わる場合、ライセンス権が問題となります。NFTのスポーツカードとの契約には、選手、購入者、クリエイター、プラットフォームの権利を保護するための条項が含まれている場合があり、これにより、NFTのその後の使用について、以下のような様々な条件が課せられる可能性があります。

  • 許可の第三者への委譲
  • クリエイターやプレイヤーへの報酬の有無や方法
  • 商用利用などを含め購入者がNFTをどのように使用することができるか
  • NFTの所有者がカードを複製して販売することができるか、その場合、収益を所有者、クリエイター、プレイヤー間でどのように分配するのか
  • NFT所有者がカードから派生物や改造物を作ることができるかどうか、その場合、どのように使用できるか

関連するスポーツリーグとNFTファンタシースポーツ企業は、NFTと一緒に譲渡される権利を決定するライセンス契約を締結していますので、NFT購入者は、NFTの複製や分割を検討する前に、その権利範囲について契約書をよく読み、理解する必要があります。

名前、イメージ、肖像権:NFTは、プロスポーツ選手や大学スポーツ選手が、商標権、著作権、契約法に加え、パブリシティ権として知られる自分の名前、イメージ、または肖像(NIL)から利益を得られる機会を提供しています。個々のプロスポーツ選手は、NFT企業または個々のNFT作成者と肖像権について交渉することができます。通常、選手の契約によって、どの肖像権を選手が保持し、どの肖像権をリーグが保持し、どの肖像権を選手が他社と自由に交渉できるかが決まります。注目すべき点は、ある特定の法域では選手が肖像権を保有する一方で、米国裁判所は、憲法修正第1条により、ファンタシースポーツチームが選手の肖像、名前、統計、およびその他のニュース価値のあるコンテンツをライセンスや報酬なしに使用することを認めていることです。

さらに、NFTにスポーツイベントのビデオや写真が含まれている場合、購入者は、リーグ、選手、またはクリエイターのうち、誰が実際にそのコンテンツを所有しているのかという法的問題に巻き込まれる可能性があります。法律の世界ではよくあることですが、それは大抵場合によると言えます。スポーツカメラマンは、試合中に撮影した写真の独占権を持っているかもしれません。プロスポーツ選手は、自分が所持していた個人的な写真を使ってNFTを作成するかもしれません。あるいは、NBA、Dapper Labs社、およびNBA プレイヤーズ・アソシエーションがNBA TopShotのために行ったように、NFT企業、リーグ、および選手組合は、前述のNFTライセンス契約で権利を交渉することができます。

賭博:NFTベースのファンタシーリーグの参加者および投資家は、それぞれの管轄区域のギャンブル法にも注意する必要があります。ファンタシースポーツリーグの合法性は、しばしば賭博法やスキルゲームに関する法律と関連しています。ファンタシースポーツは、しばしばオンライン・スポーツギャンブルと混同されますが、オンライン・スポーツギャンブルは特定の法域では違法となる可能性があります。2006年の不法インターネット賭博執行法は、消費者保護のためにオンラインギャンブルを禁止していますが、ファンタシースポーツリーグは、チャンスゲームではなくスキルベースのゲームとみなされるため、特別に除外されています。しかし、州法によって、ファンタシースポーツを規制する方法が異なっています。ファンタシーリーグの参加者は、ファンタシースポーツのゲームに賭けることができますが(その州で合法の場合)、現実の実際のゲームには賭けることはできません。米国では、スポーツギャンブルは依然として厳しく規制されているため、ファンタシースポーツの参加者は、ギャンブル・オプションを提供するプラットフォームに注意する必要があります。

NFTとファンタシースポーツは、メジャーリーグ、スポーツクラブ、選手会、そしてNFT市場への参入を望む消費者の支持を得て、拡大する大きな可能性を秘めています。しかしながら、NFTのコレクターに最高の体験をしてもらうためにも、何千人もの新規参加者が疑うことなく市場に参入する前に、これらの潜在的法的問題を解決することが重要です。

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David Hoppe

All stories by: David Hoppe