熱狂的ファンを煽りたてるWeb3エンゲージメント

熱狂的ファンを煽りたてるWeb3エンゲージメント

熱狂的ファンを煽りたてるWeb3エンゲージメント

1024 664 David Hoppe

Web3テクノロジーは、ファンのエンゲージメントを拡大・向上させるツールとして活用できることが実証されています。オープンソースのパブリック・ブロックチェーン基盤のプロトコルを使用することで、ファンはお気に入りのスポーツリーグやeスポーツ企業等の組織に、これまで不可能だった方法で簡単にアクセスし、交流することができます。3Dアバターとの交流から没入型AR/VRイベントへの参加まで、ファンエンゲージメントの可能性は無限に広がっています。

このようなWeb3テクノロジーにより、組織の意思決定に対する直接投票ができるようになり、限定版のデジタルコレクティブルや限定報酬などの付加価値へのアクセスも可能になります。スマートコントラクトを利用することで、透明性が高まり、事業者とファンとの間に信頼関係が構築されます。さらに、この技術は、詐欺や悪用を恐れることなく、デジタル資産を迅速かつ安全に譲渡するためのプラットフォームも提供します。

最近では、スポーツリーグ、eスポーツ企業、ファンコミュニティ、インフルエンサー、ミュージシャン等のクリエイティブアーティストが、ファンとつながり関わる手段として、DAO(分散型自律組織)、NFT、メタバース、その他のWeb3テクノロジーに関心を示しています。例えば、NBAファンクラブであり、NBAバスケットボール・ファンコミュニティであるKrause Houseは、最近、NBAファンやそのメンバーがより高い次元でNBAと関わることができるようにDAOとして自らの組織を構成しました。ファン参加型モデルが進化している例は他にもあります。本稿では、Web3.0に基づくいくつかのファン参加型モデルを検証し、さらには、ファンエンゲージメントとWeb 3.0に関するいくつかの法的問題についても分析します。

新興ビジネスモデル

Krause House は、ファンと有名人との関係を強化するために Web3 プラットフォームが使用された一例ですが、以下に、その他の使用例を紹介します。

ファントークン
ファントークンは、独自の暗号通貨として機能し、所有者にグッズや体験への独占的アクセスを提供することで、熱狂的ファンを獲得する手段として人気が高まっています。カリビアン・プレミアリーグ、FCバルセロナ、エバートンFC、UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)、アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワンチームなどが、ここ数年でトークンを発売しています。このスキームでは、トークンに、組織の決定事項への投票権、NFTトレーディングカードなどの報酬、リーグ関係者や選手との交流会などが含まれることがあります。この急成長する市場の主要なプレイヤーには、スポーツ団体のファントークン発行を促進する事業者「Socios.com」があります。ファントークンを発行するためにパートナーとの共同事業を検討する場合、主催者は、ファンやファシリテーターとどの程度の収益を共有することができるか、既存の商業パートナーとの契約と矛盾しないように事業を構成できるか、独占権、期間、権利、責任などの条件は適切か、といった質問に答える必要があります。

ファン投票プラットフォーム
スポーツリーグやeスポーツ企業は、これまでにNFTやDAOを使ってファンとの交流を深めてきました。中には、ゲームやコンサートの体験に投票を取り入れることで、ファンが「采配をとる」ことができる実験的試みを行っている団体もあります。視聴者は、「走るか、パスするか」「バントするか、スティールするか」といった意見を述べることができるのです。さらに、この技術によって、音楽愛好家は演奏家のセットリストや衣装替えを作成することができるようになります。しかし、このアプローチには法的制約が伴います。このモデルを採用する場合、組織は企業構造やガバナンスに関わる考慮事項を解決する必要があるのです。Ooki DAOに対する商品先物取引委員会(CFTC)の訴訟は、この分野での運営に伴うリスクの一例であり、無登録の暗号先物取引とマネーロンダリング、顧客認識(AML/KYC)規制の遵守について疑問を投げかけています。裁判所は、DAOが「人」として運営されていると判断したため、商品先物取引委員会の措置は進展する可能性があります。この訴訟判決は極めて重要であり、ファン参加型モデルを設定する際に、法律の専門家と十分に協議する必要性がさらに強調されることになります。

ブランド・エンゲージメント

Web3やメタバースの技術によって、ブランドはこれまで以上に顧客と深く直接関わることができるバーチャル体験を実現することができます。例えば、ファッションデザイナーや化粧品会社は、バーチャル店舗でカスタマイズされたショッピング体験を提供し、ユーザーは実際に店舗にいなくても、洋服を試着したり、美容製品を試したりすることができます。さらに、支払いは従来の方法ではなく、ブロックチェーン基盤のデジタル通貨を使って、顧客が店舗から直接商品を購入することができるようになるのです。フィットネス企業は、ユーザーがメタバース上でスピニング、ヨガ、エアロビクスのクラスに参加できるバーチャルジムを構築することができます。また、パーソナルトレーナーと連携して、トレーニングをパーソナライズすることも可能です。同様に、レストランや食品配達サービスでは、Web3を活用して、顧客が利用可能な食事を確認したり、注文をカスタマイズしたり、配達や受け取りの時間を予約したりすることができます。

法的課題

Web3を採用する企業は、自社の利益を守り、関連する法的要件に確実に準拠するために、この分野に精通した弁護士を雇うことが得策でしょう。Web3を専門とする弁護士は、事業計画を見直し、潜在的リスクを特定し、複雑なバーチャルリアリティ規制や知的財産権法など、ビジネスを成功させるための方策について、貴重な見識を提供することができます。さらに、弁護士を起用することで、締結する契約が法的拘束力を持ち、顧客のニーズに合った適切なものであることが保証されます。

マーチャンダイジング

スポーツリーグ、インフルエンサー、ミュージシャン、パフォーマーなどは、Tシャツ、マグカップ、キーホルダーなどのグッズを通じてファンと交流することが多いようです。このようなマーチャンダイジングによるファンとの関わりは、Web3.0の世界では法的なハードルをもたらす可能性があります。例えば、スポーツリーグやeスポーツ企業は、メタバース上で商品をライセンス化することが許されるのでしょうか?許可される場合、どのような法的文書が必要となるのでしょうか?従来のライセンスモデルは、Web 3.0やメタバース上でも有効なのでしょうか?従来のライセンスモデルは、商品の販売時にスポーツリーグに一括して支払われることになっていますが、このモデルがメタバースやWeb3.0にも有効かどうか、などを十分に検討する必要があります。

知的財産権

Web3.0テクノロジーをファンとのエンゲージメントに活用する際には、商品化権以外にも様々な知的財産権問題を考慮する必要があります。最も重要なものとしては、アバターの著作権、肖像権、商標やロゴの使用、音楽権(これは非常に専門的な法律分野です)などがあります。また、特にスポーツリーグやアーティストがファンとのエンゲージメントの手段として無料配布を行う場合には、知的財産権問題に十分な注意を払わなければなりません。

連邦取引委員会への開示

ソーシャルメディアマーケティングを通じてファンやフォロワーと交流しようとするインフルエンサーにとって、ソーシャルメディアマーケティングに関する連邦取引委員会(FTC)の規制を順守することは重要です。連邦取引委員会法第5条(a)は、「商業活動に関わる不公正な競争手段と、商業活動に関わる不公正または欺瞞的な行為または慣行は、違法である」としています。これは基本的に、インフルエンサーがソーシャルメディアを通じて製品を推奨する場合、彼らがブランドとの「重要なつながり」がある場合には、それを明確にしなければならないことを意味します。

結論

一部のスポーツリーグ、eスポーツチーム、インフルエンサー、その他同様の団体が、ファンとのエンゲージメントのためにWeb 3.0モデルの実験を始めていますが、合法的なファン参加型モデルを考案することは大変な作業です。専門家の法的アドバイスがなければ、新しくファン参加型モデルを構築するのに多額の費用が発生し、最悪の場合、法律や規制への不適合が評判の低下につながる恐れもあるため、ファンとのエンゲージメントの目的が果たせなくなることもあるでしょう。さらに、この分野の法律はまだ整備されておらず、発展途上であるため、どのようなファン参加型モデルであっても、法的問題や潜在的な影響について慎重に検討する必要があります。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、複雑な最先端のビジネス分野において、厳選されたクライアントをサポートするWeb3企業です。ダイナミックなビジネス環境で成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要な法務サービスを提供いたします。貴社のビジネスニーズについて、今すぐご相談ください

Author

David Hoppe

All stories by: David Hoppe