英国、メタバースに関するNFT商標ガイダンスを発表、 米国もこれに追随か?

英国知的所有権庁(UKIPO)はこのほど、NFT(非代替性トークン)、仮想商品、およびメタバースという複雑な世界に関する最新の商標ガイダンスを発表しました。この包括的なガイダンスは、メタバースにおけるデジタル資産の適切な分類について、待望されていた明確性を提供するものです。時を同じくして、国際商標協会(INTA)もNFTとメタバースの重要性を認識し、こうした文脈における商標に特化した2つのホワイトペーパーを発表しました。

Web3テクノロジーの発展に伴い、知的財産権(IPR)法への注目が再び高まっている中、米国特許商標庁(USPTO)も同様のアプローチを採用し、メタバース内のNFT商標の分類に関するガイダンスを発表するべきなのか、という問題が浮上しています。このようなガイダンスがあれば、この新たな領域で活動している商標権者や 申請者の利益になることは間違いないでしょう。

米国特許商標庁がメタバース内の商標分類に関する明確なガイドラインを策定すれば、仮想の領域内での商標権者の権利は適切に保護され、行使されることが保証されます。さらに、NFT や仮想商品の急増に伴い、デジタル時代における知的財産資産の進化を反映した一律の枠組みを整備することが急務となっています。米国特許商標庁は、英国知的所有権庁や国際商標協会のような先進的なアプローチを採用し、商標分類の分野における先駆者としての役割を果たすとともに、メタバースやNFTに関するブランド所有者の権利を保護することが求められます。

背景

2023年4月、英国知的所有権庁は、メタバース内のNFT、仮想商品、およびサービスの分類に関する重要なガイダンスを発表しました。メタバースが脚光を浴び、これらのデジタル資産が普及する中、英国知的所有権庁のガイダンスはその法的および知的財産上の影響を理解するための枠組みを提供し、明確化を図っています。

英国知的所有権庁のガイダンスはまず、NFT、仮想商品、およびサービスの定義と分類から始まります。NFTは、ユニークなアイテムやコンテンツの所有権や真正性を証明するデジタル資産であるとしています。仮想商品とは、価値を有し、売買や取引が可能なメタバース内のアイテムや資産を意味します。仮想サービスとは、仮想商品のデザイン、作成、カスタマイズなど、メタバース内で提供されるデジタルサービスです。同庁のガイダンスは、NFT、仮想商品、サービスを扱う際に知的財産権を考慮することの重要性を強調しています。著作権、商標権、意匠権などの知的財産権は、これらの資産の作成、販売、使用に適用される可能性があります。同ガイダンスでは、クリエイターやユーザーが著作物や商標などの保護されたコンテンツを扱う際には、既存の知的財産法を理解・尊重し、必要な許可やライセンスを取得する必要性を強調しています。

さらに、英国知的所有権庁のガイダンスによると、NFTは「NFTが関連する資産を表示しない限り、用語自体は曖昧である」ため、NFT単独では分類用語としては認められません。ただし、同庁は、デジタルアート、ダウンロード可能なグラフィックおよび、「NFTによって認証された 」ダウンロード可能なソフトウェアなど、特定の用語は認めるとしています。同庁は、これらの資産の特性や機能を分析し、現実世界の資産のデジタル表現、独立したデジタル資産、または完全な仮想創作物として扱うべきかを判断することを提案しています。この分類は、課税、消費者保護、既存の知的財産権の枠組みの適用性など、さまざまな法的考慮事項に影響を与える可能性があります。同ガイダンスは、NFT、仮想商品、サービスを取り扱う際には、データ保護法や消費者保護法などの関連規制を遵守する必要性を強調しています。これらの資産には個人データの収集と処理が含まれるため、作成者やプラットフォームはデータ保護要件を遵守する必要があります。さらに、メタバース内での透明性、公正な取引、適切な救済手段を確保するために、消費者保護法にも考慮することが求められます。

英国知的財産庁が発表したガイダンスは、2022年6月に欧州知的財産庁(EUIPO)が発表したガイダンスと類似していますが、より広範囲な内容となっています。英国知的財産庁によるガイダンスは、NFTを含む商標出願における商品およびサービスの分類に関する主要原則を定めています。これによると、NFTと仮想商品はデジタルコンテンツまたはデジタルビジュアルとして扱われます。ただし、「NFT」や「仮想商品」という単独の用語では登録対象を十分に特定できないため、申請書類ではNFTや仮想商品が関連するコンテンツをさらに特定する必要があります。

英国知的財産庁や欧州知的財産庁に加えて、国際商標協会(INTA)も、メタバースとNFTに関する2つのホワイトペーパーを発表し、新興デジタルエコシステムにおける商標の分類の調和を求めています。これらのホワイトペーパーには、ブランド業務者が変化の激しい時代に対応するための具体的な提言が含まれています。本書では、仮想商品・サービスを保護する主なニース分類(標章の登録のため商品及びサービスの国際分類に関するニース協定)として、第9類、第35類、第41類及び第42類を設定する米国特許商標庁及び欧州知的財産庁の現在のアプローチを、申請戦略を立てる際に考慮すべきであると提言しています。本書によれば、仮想商品・サービスのための新たなニース分類第46類の設定に賛成する関係者もいるようですが、その一方で、仮想商品を非仮想商品または物理商品と同じ分類で登録するべき、と主張する関係者もいるようです。同書は、「 国際商標協会がブランドオーナーの代表として提唱できるよう、適切なアプローチを特定し確立するために、国際商標協会委員会は解決策などを研究すべきである」と指摘しています。NFT報告書はまた、NFTを通じた権利の商業化を促進するため、各国が既存の枠組みを修正または適応できるよう、国際商標協会が採用可能なモデル法案を作成すべきであると勧告しています。さらに、世界知的所有権機関(WIPO)と連携して、NFTやメタバースといった新興デジタルエコシステムに対応するため、WIPO統一ドメイン名紛争解決ポリシーに類似したグローバルな商標紛争解決ポリシーを採用することを勧告しています。

Author

David B. Hoppe

デビット・ホッピは、規制、取引、および訴訟問題に関して、暗号資産、ブロックチェーン、AI関連のクライアントにアドバイスを提供しています。

All stories by: David B. Hoppe