詐欺師、フィッシング、なりすまし: NFT売買におけるリスク

詐欺師、フィッシング、なりすまし: NFT売買におけるリスク

詐欺師、フィッシング、なりすまし: NFT売買におけるリスク

1000 648 David Hoppe

非代替性トークン(NFT)市場は、過去1年間に急成長(そして低迷)しています。企業や資産家が、さまざまな物理的資産、デジタル画像、インターネット上のミーム、イベントチケット、記念品などを表すNFTを作成・販売し続ける中、NFT売買に伴う法的リスクがこれまで以上にクローズアップされてきました。本稿では、これらのリスクを解説し、新興技術企業が自社を保護するために導入可能な実証済みの方策を提案します。

不透明な法規制

NFTを取り巻く最大の法的リスクの1つに、NFTが置かれた法的環境の不明確性があります。NFTの一部の要素や特徴は既存の法律で規制されている可能性がありますが、現在、米国ではNFTに関する統一的な規制の枠組みは存在しません。

例えば、証券取引委員会等の規制当局は、ある特定のNFTが証券の性質を有すると判断した場合、1933年証券法及び1934年証券取引法に基づいてそのように分類することがあります。

一方、NFTは商品取引所法(CEA)に基づき、商品とみなされる可能性があります。CEAは、商品という用語にいくつかの列挙項目と 「その他のすべての商品と物品」のキャッチオールを含めるように定義しています。商品先物取引委員会(CFTC)は、この定義がビットコインやイーサリアムなどの暗号通貨、再生可能エネルギークレジット、排出権、その他の交換可能な品目に適用されると公言しています。受け手、買い手、投資家の立場からすると、米国の法律や規制政策から何らかの保護を受けられるかどうかは不明です

さらに、NFTが表現するオリジナルのデジタル資産の所有権によっては、NFTの著作権問題が生じる可能性もあります。NFTには一貫した法的枠組みがないため、NFT売買に関連する潜在的リスクは高くなります。政治家や規制当局は脆弱でナイーブな国民の保護を重視しているため、NFTを購入することは消費者福祉の観点から特にリスクが高いかもしれません。

偽造品と商標権侵害

NFT売買に関するもう一つの法的リスクは、偽造品と商標権侵害に関わるものです。NFTの人気は過熱し、サイバー詐欺の被害も増加しています。NFTのオリジナルショップを模倣して、インターネット上で販売されるケースも少なくありません。これらの偽マーケットプレイスは、詐欺サイトのブランド、コンテンツ、利用規約やプライバシーポリシーなどの法的文書を利用して、あたかも本物であるかのように見せかけます。これらの偽NFTストアは、複製のための知的財産権を確保していない、あるいは現実世界には存在しない偽物のNFTを販売するために存在します。したがって、ゲームや拡張現実コンテンツ、仮想メタ世界で使用する目的でNFTを購入する新興技術企業にとっては、大きなリスクとなるのです。

サイバーセキュリティのリスク

オンラインコミュニティを悩ますハッキング、フィッシング、ブルートフォース攻撃、ソーシャルエンジニアリングは、NFTの買い手と売り手双方にとって憂慮すべき脅威となっています。ハッカーは、こうした手法やその他のテクニックを使って、個人が進んでウォレットからNFTを差し出すように説得しているのです。ここで重要なのは、NFTはブロックチェーン上に存在しますが、そのブロックを解除し、NFTを使用・譲渡するための鍵はウォレットに保管されていることです。したがって、盗まれたNFTを追跡することはできても、それを取り戻すことは一般的に困難です。

物理的資産の損失・損害

NFTに関連するもう一つのリスクは、NFTと連結されている物理的資産の損失または損害に関するものです。一般的に、NFTとそのオリジナル資産は別個の資産です。NFTには通常、NFT保有者の所有権が含まれていますが、オリジナル資産が破壊、紛失、盗難された場合、NFTは無価値となる可能性があります。ワインや酒類と結びついたNFTの所有者は、注意が必要です。ボトルを落としたり、飲んだり、あるいは栓を抜いたりするだけでも、NFTの価値に影響が及ぶ危険性があります。

自分の身は自分で守る

  • 適切な法的文書
    すべてのNFTプロジェクトは、利用規約、プライバシーポリシー、ライセンス契約書などの一連の文書が必要です。売り手であれば、NFTプロジェクトにこれらの文書が揃っていることを確認してください。尚、買い手の場合は、これらの文書をよく読んで、購入するものの概要を把握する必要があります。いずれにせよ、売買契約を結ぶ前に、NFT専門弁護士に依頼して文書を確認することが最善です。
  • 法務デューディリジェンス
    特に多額の資金移動が伴う場合、文書審査にとどまらず、取引の正当性を確認するためのデューデリジェンスを実施することは、有意義な場合が多いと言えます。企業は、形式的なバックグラウンドチェック等、自社で調査を行いたくなるかもしれませんが、重要な詳細内容を見逃してしまう危険性があります。多くの法律事務所がNFT関連取引のデューデリジェンスを専門に行っています。このような専門家に依頼することで、極めて高額な出費や損害を被る事態を回避することができます。
  • 信頼できるディーラーとサービス
    サイバーセキュリティ上の懸念から、NFTを売買する際には、ベストプラクティスに従うことが重要です。これには、信頼できる暗号ウォレットの設定、ウォレットの秘密鍵の安全な保管、アンチウイルスソフトウェアの設置、多要素認証の有効化などが含まれますが、これらに限定されるものではありません。NFTの購入リスクを軽減するために、購入者は信頼できるマーケットプレイスのみで取引すること、実際に購入する品を調査すること、関連するスマートコントラクトが取引に関する条件と完全に一致していることを確認することが理想的です。

結論

NFTは、デジタルクリエイター、売り手、買い手のいずれにとってもエキサイティングな機会を提供します。しかし、市場は未だ進化中であるため、市場参加者はこの商品に内在するリスクを十分に理解することが極めて重要です。リスクを最小限に抑えるため、買い手および売り手はNFT取引を行う前にNFT専門弁護士に相談することをお勧めします。特に、NFT専門弁護士は法務デューデリジェンスの実施、法的文書の作成、NFT取引に適用される規制に関する助言等、有益なサポートを提供します。

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Author

David Hoppe

All stories by: David Hoppe