過去には、著作権は簡単に所得でき保持できるものとされてきました。事実、著者やデザイナーは登録したり、特定の組織や政府当局に保護を申請したりしなくても、自らが制作した作品の著作権者になれました。著作権の対象となるものには、「あらゆる有形的な表現媒体に固定されたオリジナル作品の所有権」が含まれ、制作者が必要としたのは「最低限の創造性」だけでした(Feist Pub’ns, Inc. v. Rural Tel. Serv. Co., Inc., 499 U.S. 340, 345(1991)を参照)。著作権は詩、歌、建築物、そしてTシャツのデカールなどに適用されて来ました。
一般には、発想の表現がより創造的またはオリジナルであればあるほど、登録したり挑発があった場合に、著作権保護を受けやすくなります。しかしこれがビデオゲーム、特に広範なマルチプレイヤーゲームセットが関わるものになると、最近の法律上の進化によりその概念は覆されています。個人やサードパーティーのデベロッパーは、制作したりデザインした最も美しくオリジナルなコンテンツの中には、現状では著作権の対象として考慮されないものがあることを知っておくべきです。
どんなクオリティであっても、現状の著作権法では一般にゲームプレイの保護は不可能
ゲームの領域では、基盤となるコードは通常は著述作品として保護され、美術作品の表現や音声は視聴覚著作物として保護されます。そうすると、個人のプレイヤーは、そのパフォーマンスも著作権で保護されてもいいと直感的に考えるかも知れません。ゲームはそれぞれに異なり、ゲームの各ステージにおけるプレイヤーのその時々の判断は、必然的に「最低限の創造性」を含むと思えるからです。プレイヤーは、自身の個人的なゲームプレイの「所有者」であると思い込んでしまうかも知れません。しかし、アメリカ合衆国著作権局は、「著作権はゲームの発想、その名称やタイトル、方法、またはプレイの方法は保護しない」と特に指摘しています。(アメリカ合衆国著作権局の『Copyright Registration of Games』FL-108参照)。この概念はもともとボードゲームに適用されたものでしたが、最近になって連邦裁判所はそれがビデオゲーム内のプレイヤーのゲームプレイにも適用されるとの示唆はしています(カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所2018年6月12日判例:Epic Games, Inc. v. Mendes, No. 17-cv-06223-LB, at *16を参照)(1996 年第9巡回区控訴裁判所判決によるAllen v. Academic Games League of America, Inc., 89 F.3d 614からの引用)
しかし、この類推には問題があります。現在、裁判所ではソースコードの著作権申請が画面表示の著作権保護に繋がるか否かについて意見が別れています(Epic Games, No. 17-cv-06223-LB, at *6参照。1987年のジョージア州北部地区連邦地方裁判所判例: Digital Communications Associates, Inc. v. Softklone Distributing Corp., 659 F. Supp. 449、および1986年の第3巡回区控訴裁判所判例:Whelan Associates v. Jaslow Dental Laboratory, Inc., 797 F.2d 1222, 1234も参照)。そうなると、コードの中に表現されるゲームプレイには著作権が与えられないものの、画面上の一意の視覚的表現には著作権が適用される、あるいはその逆も考えられる事になり、この問題はまだ解決に至っていません。
オリジナルのコンテンツがゲームに追加された場合、そのオリジナルコンテンツは著作権で保護されなくなる
そして人々の直感に反し、ゲームのほとんどの「mod」や「アドオン」(「スキン」も含む)は、一般に保護されていません。オンラインゲーム内では、「mod」つまり改変はゲーム内のツールやその他の機能に対する変更で、「アドオン」は新しいユニットや武器などの追加です。多くのゲームでは、プレイヤーが単に外観をよくしたり、あるいはアバターの能力を向上させたり変えるためにアバターの衣装、つまり「スキン」を選択することができます。基本的に「mod」と「アドオン」はオリジナルのゲームコード(「バニラ」と呼ばれる)への変更で構成されるものです。まったく新しいコンセプトやデザイン、そして可能性をゲームやゲームの一部に導入する場合もありますが、現状では「mod」と「アドオン」それ自体は著作権で保護できるものとは考えられていません(1998年の第9巡回区控訴裁判所判例:Micro Star v. FormGen., 154 F.3rd 1107参照)。modやアドオンは「派生物」と考えられているためです。modやアドオンが機能するには、著作権のあるオリジナルコード(あるいは視覚的表現)が必要です( 合衆国法律集第17篇第101章参照)。著作権法では、著作権のあるオリジナルの作品から派生物を制作する占有権を持つのは著作権者だけとなっています。しかし、著作権者は、ライセンスや契約などの形で、侵害なく他人に派生物を制作させる許可を与えることができます。Half-Lifeに関わるデベロッパーなどのように、modの作成が彼らのゲームに大きな恩恵をもたらすことに気づいたデベロッパーもいます。そのままでは新鮮味がなくなってしまうゲームに、継続的にアップデートや改善をすることで、ゲームの関連性や魅力を拡張できるからです。しかし、ゲームの価値の大部分はその占有的な性質に依存するため、個人やサードパーティーのデベロッパーにコードのライセンス化を許可し、自由にアドオンを制作させることは複雑な問題です。
個人やサードパーティーのデベロッパーが関わる派生物の問題で、頻繁に引用される例外に「公正使用」の理論があります。この理論では、個人が「著作権のある素材を、著作権者の承諾なく、適切な形で使用する」ことを許可しています。著作権法の第107条では、作品が公正使用の例外の対象となるか否かについて4つの主な要素を挙げています。1)使用の目的と特徴。かかる使用が商業的な性質のものである場合も非営利な教育的目的である場合も含む、2)著作権のある作品の性質、3)著作権のある作品全体に対し、使用された部分の量と重要性、そして4)潜在的な市場または著作権のある作品の価値に対する使用上の影響です。modとアドオンの制作は、それが個人利用のためであり、著作権のあるオリジナルの作品の市場に影響しない限り、公正使用であると言うのが多数派の意見です(カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判1991年の判例: Lewis Galoob Toys v. Nintendo of America, 780 F. Supp. 1283, 1294参照)。基本的な多数の利用者を対象にしているEスポーツのような大きな文脈が絡む場合、modとアドオンの公正使用に関する争議は、より不確定要素の多いものであると言えます。
オリジナルのコンテンツ制作者の作品が他人のオリジナルコードに依存している場合、著作権事情はコンテンツ制作者にとって懸念の対象である
著作権法は創造性とオリジナルのコンテンツを保護することを意図したものですが、個人やサードバーティーのデベロッパーは、ゲームプレイ、改変、アドオンにおける予期せぬ例外があることを意識しておかなければなりません。ゲームプレイは、その質や革新性がどうであり、ほとんどの場合、著作権を与えられません。しかも、新しいデザイン、技術、プレイヤーのスキンやツールもクリエイターが別のゲームでの利用のために制作した場合は、一般に著作権で保護されません。
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