Apple StoreがNFTの販売を許可、利益の分配を受ける

Apple StoreがNFTの販売を許可、利益の分配を受ける

Apple StoreがNFTの販売を許可、利益の分配を受ける

1000 648 David Hoppe

Apple Inc.(アップル)は、App Storeの新規ガイドラインの一環として、開発者がアプリやゲーム内でNFTを販売することを認めると発表しました。Appleは特定の種類のNFTに制限や料金を課していますが、DigiDaigaku(デジダイガク) NFTプロジェクトの創設者であるGabriel Leydon氏が「… これで10億人以上のプレイヤーが参加するすべてのモバイルゲームにイーサリアムウォレットを設置できる!」とツイートしたように、これは重要な展開です。

Appleの新NFTポリシー

ユーザーは、Apple App Storeで提供されている多くのアプリを通じて、NFTを販売・取引できるようになりました。この決定以前にNFTを保存または表示していたアプリは、Appleの規則に違反していた可能性があります。ユーザーがイーサリアム上のデジタル資産を管理し、販売までできる暗号ウォレット「Gnosis Safe」は、数か月間Apple App Storeでアプリを提供していましたが、2021年9月、Appleから「単なるストレージやマーケットプレイスであっても、アクセスするアプリはApp Storeに相応しくありません。貴社のアプリをからこの機能を削除することを提案します。」という通達を受け取りました。

現在開発者はAppleの承認を得て、NFTを販売することができるようになりました。ただし、NFTの販売には、他のApp Storeでの購入と同様の収益化構造を課しています。App Storeを通じて年間100万ドル以上の収入を得るアプリ開発者からは30%、それより小規模な販売者からは15%の手数料を徴収しています。Appleによると、アプリは、NFTを出品、ミンティング、譲渡することができ、アプリ内で付加的なゲームプレイの特徴や機能を解除しない限り、ユーザーがNFTコレクションを閲覧できる仕組みを提供するとしています。また、アプリは、Appleの支払いシステムを回避する外部リンクや購入メディアを提供しない限り、他のNFTを宣伝することができます。

世界最大のテクノロジー企業の1つでありながら、クパチーノの巨人はブロックチェーン技術をほとんど受け入れておらず、その製品は閉鎖的すぎると批判されていました。今回の新展開は、進捗は遅いものの、Appleがブロックチェーン技術とその応用を温存していることを示しています。

依然として議論の的となるAppleの30%ソリューション

Appleの高額な手数料は、世界の暗号コミュニティから批判を浴びており、他のいくつかのNFT市場とは対照的なものとなっています。例えばOpenSea (オープンシー)とMagic Eden(マジックエデン)の手数料は5%程度で、その他の市場には取引コストの基準を2.5%まで低く抑えているものもあります。

テックブロガーのフローリアン・ミュラー(Florian Mueller)氏は、NFTの売上に対するAppleの「アプリ税」を「横暴だが一貫性がある」とし、開発者の実際のコストは、App Storeの手数料の30%を超えることが多く、地域によっては検索広告の掲載料に加え、約35%という高い手数料が課されることもある、と付け加えました。

また、根強いApple批判者であるEpic Games CEOのティム・スウィーニー(Tim Sweeney)氏も、Appleが「グロテスクなほど高値のアプリ内決済サービスに匹敵しうる」他の新興技術を「つぶしている」とし、Appleの法外な手数料はNFT業界全体を窒息させかねないとツイートしています

Appleの手数料ポリシーは、2020年から続いているEpic GamesのAppleに対する訴訟の根拠となるものです。同ビデオゲーム会社は、App Storeのアプリ内課金の代わりに同社の決済プラットフォームを使うことを認めず、30%のカットを徴収しているとしてAppleを訴えました。

セカンダリーマーケットの課題

ソラナNFTの最大手マーケットプレイスであるMagic Edenも、Appleからの高額なコスト要求を受け、そのコストについて明確化が必要だとし、アプリ内取引のサポートを辞退しました。Magic Edenの広報担当者は、「弊社のアプリは、Magic Edenの出品物とミンティングを展示するツールとしてApp Storeで引き続きご利用いただけますが、取引には対応しておりません」と述べています。

NFTのセカンダリーセールスも問題があります。例えば、Magic Edenや OpenSea は、通常、5%以下の手数料を課しています。

「この場合、コレクターがiPhoneのMagic EdenやOpenSeaアプリを通じてNFTを購入しようとすると、売り手は購入価格の70%しか受け取れません 。」とBlockworksは説明します。「そして、マーケットプレイスは、その差額を埋め合わせようとはしないでしょう。」

AppleがNFTの販売を標準的プレミアムで許可するという決定は、NFTスタートアップにとって大きな障害となります。スタートアップの中には、Appleが課すとされるルールや、手数料のためにApp Storeの利用の正当化が難しくなっていることに不満を抱く企業もあります。

昨年の判決は、Appleにオフプラットフォームの決済チャネルへのリンクを許可するよう求めましたが、Appleは暗号通貨による決済を受け付けていないため、NFT取引には関係ないかもしれません。すべての出品物はドル建てで、支払いは不換通貨で行われます。NFTのマーケットプレイスは、Appleの決済システムに対応するための追加インフラの構築という課題に直面しており、NFTのドル価格は暗号通貨のボラティリティにより常に変動しています。

Appleのユーザー数に対応できるブロックチェーンはほとんどない

しかし、すべてのWeb3企業がAppleの方針に難色を示しているわけではありません。AppleがNFTを受け入れることで、マーケットとWeb3アプリが大量に採用される可能性があるため、メリットがあると考える企業もあります。また、Appleへの30%の手数料に関しては、App Storeから完全に禁止されるよりましだという意見もあります。

Appleは、暗号通貨とNFTを有効化することで、数十億人とは言わないまでも、数億人の人々をNFTと暗号通貨に引きつけることができます。現在約40億人のオンラインプレイヤーを抱えるゲーム業界も、多額のコミッションを生み出す可能性があります。現在の推定では、暗号通貨のゲーマーは10万人未満なので、iOSアプリに統合することで、数千から数百万人の新規ユーザーを取り込むことができる可能性があります。

結論

AppleがApp StoreでのNFTの販売を開発者に許可したことは、何らかの予兆を示唆しているのかもしれません。Appleは伝統的に自社のプラットフォームの利用方法に非常に保護的であり、この動きは規制を緩和し、他種のアプリやサービスに開放し始めた兆しと解釈することもできます。ブロックチェーン基盤のゲームから分散型ソーシャルネットワークまで、あらゆるものがこのカテゴリーに入る可能性があります。

このニュースは、新興産業の搾取であると同時に、Web3アプリケーションをAndroidの独壇場から脱却させるためのGOサインであるとも解釈されています。実際はその両方と言えるでしょう。これは暗号分野での最も重要な進展ではないかもしれませんが、Appleがこの技術を信頼し、その進歩を援助したいと考えていることを示すものです。最終的に、Appleの決断が、誕生間もない暗号アプリのエコシステムとブロックチェーン業界にどのような影響を与えるかはまだわかりません。例えば、開発者はより多様なゲームを開発することが奨励され、ユーザーはブロックチェーンの世界に多くの時間と金銭を投資することを望んでいるため、ゲーム業界は拡大するエコシステムの中で、ニッチを見つけることが可能になるかもしれません。

NFTを新しく導入することは、長い間自社の利益を守ることに固執してきた企業にとって、デジタルデータの分散化に向けた重要なステップとなるでしょう。また、Appleもブロックチェーンが提供するベネフィットに注目していることがうかがえます。

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Author

David Hoppe

All stories by: David Hoppe