「責任ある金融革新法案」、暗号の明確化と消費者保護を求める

1024 576 David Hoppe

暗号通貨市場に参加する投資家が増える中、デジタル資産の取引、売買、課税に関する規則を明確化し、近代化する必要性がますます高まってきています。シンシア・ルミス (Cynthia Lummis: 共和党・ワイオミング州)と カーステン・ギリブランド(Kirsten Gillibrand:民主党・ニューヨーク州) の両上院議員はこれに対応し、6月初めに、消費者、証券会社、金融機関、コイン発行会社、投資家、その他の市場参加者を保護するための措置として、責任ある金融革新法案( Responsible Financial Innovation Act: RFIA)を提出しました。本法案は、商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission: CTFC)の権限を暗号資産分野に拡大し、デジタル資産の規制と課税に関する証券取引委員会(Securities and Exchange Commission: SEC)のパラメーターを更新するものです。この法案では、商品先物取引委員会が監督する暗号「付随」資産と、株式や債券のように証券取引委員会の管轄下にある暗号「証券」とを区別することになっています。責任ある金融革新法案に含まれる他の条項は、消費者保護改革、「ブローカー」と分散型自律組織(DAO)の明確な定義等を含んでいます。

弊所の前回の記事では、法案の主な法的定義、商品として規制される暗号通貨、デジタル資産の特定の販売に対する課税の最低限度額、法案がステーブルコインの問題をどのように回避しようとしているのか、について紹介しました。本稿では、ブローカーの役割、情報開示、消費者保護、分散型自律組織など、責任ある金融革新法案の追加条項について解説します。

ブローカーと暗号資産の販売

責任ある金融革新法案の第202条は、暗号資産分野における「ブローカー」の定義を、「通常の取引またはビジネスの過程で、(対価を得て)顧客の指示によりデジタル資産の販売を実行することができる者」として狭め、明確化しています。これは、1986年内国歳入法およびインフラ投資・雇用法に含まれる、取引の管理・促進者を含むと解釈される定義を修正するものです。

この「ブローカー」の狭義化により、多くの従業員が報告責任や受託者責任から免除されます。ブローカーが行う従来認められている業務(すなわち、小売顧客のための取引等)を行い、暗号の売り手と買い手を結びつけることで報酬を得ている人のみが、これらの業務によって発生した所得に課税されることになります。暗号の作成者、購入者、その他の参加者は、現金化されるまでは投資に対して課税されません。

責任ある金融革新法案は、ブローカーによる市場での暗号通貨の販売方法を改革し、デジタル資産に関する特定の情報の報告を義務付けています。この法案は、管理手続きの義務化において、ブローカー・ディーラーが顧客のためにデジタル資産の管理を行うことを許可するため、1934年証券取引法下の規則15c3-3(顧客保護規則)の改正を証券取引委員会に求めています。もし最終的に制定されれば、新法はブローカー・ディーラーがデジタル資産証券の管理を維持するための有意義かつ待望の方策となるでしょう。

デジタル資産のセーフ・ハーバー取引規定

現在、非米国民が株式、証券、商品を取引する場合、国内代理人を使用する場合でも、その活動は米国内で行われているとは見なされないため、国内課税の対象にはなりません。このような保護策を暗号通貨投資家にも拡大するため、責任ある金融革新法案はデジタル資産に対する例外規定を設けています。デジタル資産を販売する非米国人のための「セーフ・ハーバー」条項の導入により、米国に拠点を持たない非米国人トレーダーは、取引活動を行うために米国内の金融機関を利用することができるようになります。

第203条は、商品および証券取引を対象とする第864条(b)(2)に基づき、この取引に関して「セーフ・ハーバー」特例を設けています。非米国人トレーダーは、デジタル資産取引所において通常の取引を行う限り、課税上、米国「内」 で事業を行なっているとはみなされません。しかし、非米国人トレーダーが米国に事務所や事業所を保有している場合は、米国内で取引が行われるため、この規定は適用されず、課税対象となります。

消費者保護規定

本法案が成立した場合、消費者の保護規定が追加されることになります。暗号通貨の人気が高まり主流になるにつれ、多くの人が不完全で誤った情報やリスクの理解に基づいて、頻繁に変動性の高いデジタル資産を購入するようになりました。従って、Terra/USTステーブルコインのように、これらのデジタル資産が崩壊すると、何百万ドルもの消費者の集団資本が一掃される可能性があります。暗号市場は固有のリスクを伴うため、消費者は十分な情報を得た上で投資判断を下すことができるよう、適切な情報開示を受ける必要があります。本法案第505条は、デジタル資産の供給者に、投資リスク、適用される手数料、償還手続き、破産訴訟におけるデジタル資産取り扱いなど、その商品に関する情報を顧客契約書に明確に開示することを求めています。

責任ある金融革新法案の消費者保護規定は、ブローカーや販売者にとどまりません。同法案は、デジタル資産仲介業者や商品取引所法第1a条(7 U.S.C. § 1a)で定義される金融機関を含むデジタル資産サービス提供者にも顧客開示義務を課すとしています。同法案はさらに、連邦または州の定款、免許、登録、その他同様の認可に基づき、全てのデジタル資産活動を行う者は、情報開示する必要があると定めています。さらに、同法案は、証券取引委員会に対して、制定後18ヶ月以内にカストディ規則(17 C.F.R. §240.15c3-3)および消費者保護規則(17 C.F.R. §275.206(4)-2)を制定することを要求しています。新規則は、カストディ業務、デジタル資産、ブローカー・ディーラー業務、市場構造の変化、テクノロジー、州法銀行と国法銀行の同等性などの規制変更を考慮する必要があるでしょう。

この法案は、暗号資産市場管理のための欧州連合の提案や、指令(EU)2019/1937(MiCA)の改正など、暗号市場規制に対する新たなアプローチに密接に対応しています。また、トークン発行者、ブローカー、その他の市場参加者に対しても、EUの提案と同様の義務付けを求めています。

分散型自律組織(DAO)

この法律には、分散型自律組織に関する規定も含まれています。これらの事業体は比較的新しい現象ですが、次第に人気が高まっています。米国には80 億ドル以上の資産を持つ約 4,000 の 分散型自律組織 がありますが、その大部分はマーシャル諸島とワイオミング州で組織されています。これらの組織は、暗号やNFTの分野で有力なプレーヤーとなっています。

責任ある金融革新法案は、少なくとも内国歳入庁(IRS)の税法上の分類のために、分散型自律組織を「主流」にしようと試みています。同法案は、特定の分散型自律組織は課税目的のために事業体を構成することを明記しています。これらの事業体は、州のDAO法令に基づいて適切に組織化または法人化されていなければなりません。この法案では、分散型自律組織は、LLC、株式会社、パートナーシップ、財団、協同組合、または同様の組織として設立することができます。

今後の展開

責任ある金融革新法案は、米国内のデジタル資産市場に、長年の課題であった政府の規制と透明性をもたらし、市場を改革する可能性を秘めています。法律として署名された場合、その条項は一定の期間内に実施されることになり、即座に施行されるものではありません。税制改正の一部は2022年12月31日から施行されますが、その他の改正は2025年になってから導入される予定です。本法案が最終的に法制化されるためには、まず議会の委員会のハードルを越えなければなりません。従って、この間に、業界関係者は規制強化に対処するための戦略を立てたり、税負担を軽減し、情報開示に関する新規則を確実に遵守するために、この分野に精通した弁護士に相談する時間を持つことができます。

 

 

 

「責任ある金融革新法」の主なハイライト

1000 648 David Hoppe

暗号通貨やその他のデジタル資産が経済活動の原動力として確立され、主流として受け入れられるようになるにつれ、規制を求める声が大きくなってきました。消費者と投資家を保護するため、シンシア・ルミス (Cynthia Lummis: 共和党・ワイオミング州)と カーステン・ギリブランド(Kirsten Gillibrand:民主党・ニューヨーク州) の両上院議員は、暗号通貨市場の規制枠組みを作成し、デジタル資産の大半を商品として分類するための超党派法案を提出しました。69ページに及ぶ「責任ある金融革新法(Responsible Financial Innovation Act: RFIA)」は、商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission: CTFC)に暗号市場を規制する権限を与え、デジタル資産の新しい法的定義を設定するものです。更にこの法案は、ステーブルコインを管理する新規の連邦法を制定し、小規模な暗号決済に対する課税を実施し、規制管轄を成文化するものです。この法案が成立すれば、暗号通貨界を悩ませてきた法的不確実性が払拭され、その正当性が一層確立されることになるでしょう。

暗号通貨に関連する法的定義

デジタル資産分野で最も顕著な欠陥の一つは、合衆国法典に法的定義がないことです。責任ある金融革新法は、暗号通貨を商品先物取引委員会の管轄下にある商品として規制し、トウモロコシ、コーヒー、金、大豆、原油などの原商品と同じように扱うことを提案しています。この法案は、商品先物取引委員会に暗号通貨を監督する新たな規制権限を付与し、デジタル資産のスポット市場の主要な規制機関とするとともに、デジタル資産取引所に新規登録カテゴリーを設けることを提案しています。この法案では、商品取引所法に含まれる定義として「デジタル資産」「デジタル資産取引所」を追加し、「仮想通貨」「決済用ステーブルコイン」「スマートコントラクト」「分散型自律組織(DAO)」等の関連用語の定義も追加しています。

商品として規制される暗号通貨

責任ある金融革新法の下では、デジタル資産が規制の対象となり、現在ほとんど存在しない秩序が構築されることになります。法案の本文では、商品または証券として機能するデジタル資産と、証券の売買と同時に提供または販売される有形・可換の資産を区別しています。資産がどのカテゴリーに分類されるかは、その資産が所有者に与える権利や権限を検証することで判断されます。本法案では、デジタルアセット企業が規制義務の決定と遂行において主要な役割を果たすと同時に、規制当局が商品取引法や証券取引法を適用できるように、さらなる明確化を図ることを規定しています。

デジタル資産は、有価証券と組み合わせて提供される場合、企業が資本の発生を目的として投資家に発行する有価証券のようなものでない限り、「付随的なもの」と定義されます。証券取引委員会のHoweyテストでは、以下の4つの条件が満たされた場合、その資産は有価証券とみなされるべきとされています。

  1. 資金の投入がある
  2. 資産は共通事業である
  3. 出資者は、利益を得ることを期待して出資している
  4. それらの利益は、他の人の努力によってのみ発生する

企業等の組織は、特定の開示要件を定期的に満たすことで、「証券」としての分類を避けることができます。責任ある金融革新法はまた、暗号通貨やその他のデジタルトークンを従来の証券と同様に扱わないよう証券取引委員会(SEC)に指示します。ただし、Howeyテストにあるように、保有者が配当、清算権、発行者の財務上の利益など、企業投資家が享受する特権を受けることができる場合は除外されます。

この法案が可決されれば、Coinbaseのような暗号取引プラットフォームに事業登録を義務付けるプロセスが設けられ、加えて暗号スポット市場にまで商品先物取引委員会の権限が拡大されることになります。商品先物取引委員会は、監督する企業に手数料を課すことで収入を得ることが可能となります。

デジタル資産に対する税制改革

責任ある金融革新法はまた、デジタル資産の課税を定義し、明確にする改正内容も導入しています。現在、暗号通貨保有者がデジタル資産を売却した際に、その利益に対してキャピタルゲイン税を支払う必要がある場合があります。たとえデジタル通貨が商品やサービスの購入のみに使用されたとしても、その取引はその資産の処分に該当します。暗号通貨の価値が高まり保有者が利益を得た場合、その保有者は税金を支払う義務があります。この法案は、少額の取引に対するこの税金を排除する可能性があります。

暗号通貨を決済手段として受け入れる業者が増える中、消費者がビットコインやイーサリアムを使うたびに課税されることがないような税制改革が必要となっています。特定の条件下で、責任ある金融革新法は、商品やサービスの支払いに仮想通貨を使用する取引ごとに200ドルまでのデミニマス除外を提供します。つまり、消費者は合計200ドル未満の商品やサービスを購入しても、キャピタルゲイン税が発生しないことになります。

Terra-ble問題の回避

TerraUSD(UST)の崩壊以前から、規制当局はステーブルコインが金融システムにもたらすリスクを懸念していました。ステーブルコインは「暴落しやすく」、それを支えているとされる資産の透明性が十分でない、と連邦準備制度理事会(FRB)は主張しています。今回の法案は、Terraコインのような事態が再び発生するのを避けるための規制を導入しようとするものです。ドルなどの従来の金融資産に固定された暗号通貨であるステーブルコインの発行者は、そのデジタル資産を完全に裏付ける現金または相当する準備金を維持することが必要になります。発行済み決済用ステーブルコインの額面金額の100%を準備金とする要件は、デジタル資産の崩壊をなくすことを目的としたものです。また、すべてのステーブルコイン発行者に対して、詳細な情報公開の義務付けも必要となります。

責任ある金融革新法の次なる展開は?

責任ある金融革新法が法制化されるには、まだいくつかのハードルを越えなければなりません。この法案は、証券取引委員会を監督する銀行・住宅・都市上院委員会と、商品と商品先物取引委員会を規制する農業・栄養・林業上院委員会で審理される予定です。ルミス議員は銀行委員会のメンバーで、ギリブランド議員は農業委員会に所属しています。この法案が、2023年1月23日の議会閉会までに成立する可能性は低いと思われます。その後、選挙後に新議会が召集された際に取り上げられることになります。仮にこの法案が成立しなかったとしても、これが将来の法案のベンチマークとなり、暗号業界統合のためのゲームプランを提供することができるでしょう。

総合的に見て、この法案は、市場におけるデジタル資産を取り巻く法的不確実性を明確化し、新たな規制の枠組みを構築することを意図しています。商品先物取引委員会と証券取引委員会は共に強力な規制当局であり、米国内の仮想通貨とデジタル資産を監督するためより多くの権限を与えられることになります。後者はデジタル資産を商品として規制し、前者は投資家保護を強化するために企業、経営者、証券を取り締まることになります。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

英国がNFTを財産と認定、米国への影響は?

1000 648 David Hoppe

最近、英国高等法院は、非代替性トークン(NFT)を、それらが表す原資産や オブジェクトとは別個の「財産」であると認めました。この判決は、デジタル資産やデジタルアートをめぐる紛争に大きな影響を及ぼすと思われます。更に、商標権、著作権、その他の知的財産権に関して、米国がNFTをどのように見なすのかにも影響を与える可能性があります。

背景

英国高等法院は、NFTは、それが表現する基盤となるコンテンツとは別の財産であるとする画期的な判決を下しました。これは、ラヴィニア・オズボーン(Lavinia D. Osbourne)氏のオンラインウォレットから盗まれたNFTをめぐる事件に端を発する判決です。今年初め、Women in Blockchainの創設者であるオズボーン氏は、彼女のMetamaskウォレットから2つのBoss BeautiesのNFTが盗まれたと主張しました。Boss Beautiesは、「美しく多様な、力を持った女性」の画像に関連するNFTコレクションです。オズボーン氏は、犯罪者がどのようにNFTを盗むことができたかについての詳細は明らかにしませんでしたが、トークンはその後、人気のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaに出品されました。これらのNFTは結果として、匿名のOpenSeaのアカウント保有者2名が所有することが判明しました。オズボーン氏はOpenSeaに対し、NFTの奪回を求める差止命令を申し立てました。裁判所は、Ozone Networks(OpenSeaの主催者)の口座の資産を凍結する差止命令を出し、OpenSeaに対して、盗まれたNFTを所有している2人の口座名義人に関する情報を開示するように要求したのです。

法的影響

この判決は、世界のNFT、暗号、ブロックチェーン法にさまざまな影響を与えるでしょう。

第一に、最も重要な点は、NFTがアートワーク、楽曲、ツイート、その他の「資産」とは別に、NFT自体として財産に該当するかどうかについて、少なくとも英国では不確実性が排除されたことです。この判決の意義は、NFTが銀行口座や投資口座と同様に凍結可能な資産の一種であると裁判所が判断したことにあります。しかし、本件は、NFTとその原資産との関係について裁判所が言及していないため、いくつかの曖昧な点を残しています。現状においては、NFTを単に所有するだけでは、著作権、使用権、著作者人格権、その他いかなる権利も譲渡されません。これらの権利は、書面による契約によって明示的に付与される必要があるのです。

第二に、今回の判決では、多くの暗号支持者の主張とは逆に、コードは法律ではないことが明確にされました。「コードは法律である」は暗号愛好家の間で支持された言葉で、ソフトウェアに不具合や予期せぬ機能不全があったとしても、記述されたコードは合法的な法的強制力を持つと主張をするものです。実際には、誰かがフィッシング詐欺などにより所有者の正当なプライベートキーにアクセスできたというだけで、NFTを入手したとしても、それは違法とみなされないということです。コードがその活動を可能にしたのであり、加害者はそのコードに整合し、許可された方法で行動したのであり、その権限は尊重されるべきであると主張する人もいるでしょう。しかし、高等法院は、特定のプライベートキーに対する個人の正当な主張が法的に重要であるとの見解を示しました。他の当事者がある資産を所有することができるという事実は、所有権が譲渡されること、または譲渡が許可されるべきことを意味するものではありません。

第三に、裁判所は、盗まれたNFTを含むウォレットの所有者が差止命令の発行時に匿名であったため、「不明者」に対して差止命令を発行しました。さらに、裁判所はOpenSeaに2人の口座名義人の情報を提供するよう強制し、多くのブロックチェーンユーザーが金融取引を行う際に望ましいと考える匿名性という隠れ蓑を寸断しています。

最後に、裁判所はOpenSeaに対し、NFTを移動させたり取引したりできないよう、関連する口座を凍結するよう命じました。NFTの権利者は、このような措置が知的財産権保護のための重要な方法であることを認識することでしょう。資産を凍結し、売却や追跡不可能な口座へ移すのを防ぐことで、一連の証拠が維持され、捜査官にNFTの不正流用に至った経緯を解明する時間を与えることができます。そして調査の後、法的措置を取ることができるのです。

米国の政策への影響

英国高等法院の判決は、NFTを財産と見なす米国内国歳入庁(IRS)の既存の政策を強化し、一致させるものです。内国歳入庁や学者は、NFTは従来の財産の属性をすべて備えているとの見解を共有しています。所有者は、売却、取引、譲渡することができ、また、他者がそれに関与するのを防ぐことができます。しかし、NFTの安全性を完全に別個の管轄区域で確保できるのかについては、意見が分かれるところです。ある見方によれば、英国はNFTを財産として公認したため、保有者は自分のトークンの安全性が保証され、財産が盗まれた場合には英国で法的救済を受けられます。一方、米国はNFTを財産と正式に明言していないため、誰かがウォレットをハッキングしてNFTを盗んだとしても、NFT保有者は何の救済も受けられないと指摘する専門家もいます。このため、一部の専門家は、英国がNFTの所有権保護において先行していると指摘しています。米国では内国歳入庁やその他の行政機関によると、NFTはすでに財産の地位を享受していますが、NFT保有者に財産権を付与する上で、現在の立法上の空白を埋めることはほとんどできません。デジタル資産に関する連邦法の制定が急務であり、現在、議論が進められています。

結論

この英国高等法院の判決により、NFTは財産とみなされるべきであり、したがって物理的な所有物のすべての救済と利益を受ける資格があるという重要な点が明確になりました。しかし、NFTは米国でも既に一定の文脈で財産とみなされているにもかかわらず、米国の裁判所が同様の解釈に従うかどうかは不明です。この曖昧さは、NFTプラットフォームの保護範囲を決定する上で重要な影響を及ぼします。特に、米国の裁判所が英国高等法院と同様に盗まれたNFTの保護に乗り出すかどうかも不明です。NFTを保護するための最善の法的戦略については、NFT専門の弁護士に相談するのがベストです。更に弁護士は、デジタル資産を保護するための適切な法的文書を作成することもできます。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

英国オンライン安全法案によるテック企業への影響

1000 649 David Hoppe

英国政府は現在、メタバースにおける安全性とセキュリティを確保するため、オンライン安全法案(OSB)を検討しています。数カ月にわたる審議、遅延、議論を経て、4月19日に下院でOSBの第二読会が行われました。この法案は、仮想世界のユーザーにとって広範な影響を及ぼすことが予想され、新興テクノロジー企業のメタバースでの事業展開方法にも影響を与える恐れがあります。

オンライン安全法案の主要条項

OSBは、特定のインターネットサービスを、放送、電気通信、郵便サービスを管轄する規制当局であるオフコム(英国情報通信庁、Office of Communications、Ofcom )の規制下に置くことで、英国内のインターネットユーザーを保護することを目的としたものです。この法案は、Meta(旧Facebook)やTwitterなどのテクノロジー企業が、利用規約を遵守し、違法なものを削除し、有害なコンテンツから子供を守り、合法的に許可されたコンテンツであっても、大人が見たくない閲覧をオプトアウトできるようにするものです。更に、リベンジポルノ、麻薬や武器の売買、自殺を助長するコンテンツなどを違法とする方針で、インターネットやメタバースを規制する野心的な試みで す。この法案は、2020年12月の「オンライン有害情報白書(Online Harms White Paper)」の発表に続き、2022年3月に国会に提出されました。OSBの主な規定と、それが新興テクノロジー企業へ及ぼすかもしれない影響は以下の通りです。

子供と未成年者の保護

OSBは、ポルノ、人種差別的な暴言や中傷、暴力の美化、犯罪の影響、その他身体的、感情的、心理的に有害な影響を及ぼす可能性のあるコンテンツから子供や未成年者を保護するものです。OSBは、オンラインプラットフォームに対し、サイバー脅威から家族を守るための技術の強化を要求しています。特に、ポルノサイトや性描写のあるコンテンツを扱うプラットフォームに対し、児童や未成年者をブロックするよう求めています。OSBの未成年者・子供の保護に関する規定は、子供向けコンテンツやサービスを提供する新興テクノロジー企業に、さらなる規制負担がかかることを示唆しています。

虚偽の広告

OSBは、オンライン広告規制を対象とした広範な改革を導入し、有害、不快、誤解を招く広告を規制するため、オフコムに対してより広範な権限を付与しています。更に、詐欺を取り締まるため、インフルエンサーに対して、製品やサービスの宣伝の対価として報酬を得ているかどうかを開示することを義務付けています。最後に、ソーシャルメディア企業や検索エンジンに対して、プラットフォーム上での詐欺や不正行為を防止するための追加的な義務を課しています。これらの規定は、犯罪者が有名人や企業になりすまし、個人情報を盗んだり、不正な金融投資を行ったり、銀行口座に不正にアクセスしたりする最近の傾向を受けて導入されたものです。

オフコムの取締り権限

OSBは、デジタル領域の安全性を確保するために、オフコムに対しハイテク企業への情報・データ要求権など、幅広い権限を与えています。その中には、オンラインプラットフォーム、インタラクティブゲーム、ソーシャルメディアサイト、マーケティング担当者が、どのコンテンツを選択し、特定のビューアーに表示するかを決定する際に、どのようにアルゴリズムを使用しているかの説明任務が含まれ、ユーザーを被害から保護するためにどのような措置を取っているかを評価することができるようにしています。また、この法案では、オフコムの代表者が企業の敷地内に物理的に立ち入り、データや設備にアクセスしたり、企業の従業員にインタビューを行ったり、ユーザーの安全を守るための企業の取り組みについて外部評価を求めたりすることができるようになります。さらに、オフコムは、企業の幹部が虚偽または不完全な情報を提供したり、データを改ざん・破棄したり、検査権限の行使を妨害・遅延させた場合、その企業に対して措置を講じる権限をもつようになるとされています。唯一の注意点は、厳密に定義された例外が適用されない限り、オフコムは企業の同意なしにデータを共有・公開することは許されないということです。また、オフコムは、その権限が適切に行使されることを保証する責任を負っています。このようにオフコムには幅広い権限が与えられているため、OSBの遵守を徹底することがより一層重要となります。

適応除外

重要なのは、OSBの規定は、ニュースサイト、一部の小売サービス、一部のイントラネットサイト、ビジネス電子メールプラットフォーム、電子メールサービスプロバイダなど、ユーザー生成コンテンツをホストする特定のサービスには適用されないということです。つまり、テック企業は自社のプラットフォームからニュース関連コンテンツを削除する義務はありません。表向きは言論の自由への譲歩ですが、この免除は、政府が「有害」と見なす言論をケースバイケースで判断することに委ねられています。その理由は、ユーザーコンテンツをホストするサイトが、ヘイトスピーチ、いじめ、フェイクニュースを扱うOSBの規則に抵触することを恐れて、メッセージを過度に検閲することを避けるためです。

英国の児童委員(Children’s Commissioner )や全英児童虐待防止協会(National Society for the Prevention of Cruelty to Children)からイングランド・プレミアリーグまで、多くの人がこの法案を支持しています。しかし、OSBのいくつかの構成要素には批判的な意見もあります。未成年者の保護に関する規定は、「現実問題に十分に対応できていない 」という理由で批判を浴びています。批評家たちは、法律の範囲を拡大し、パンくず行為(加害者が違法コンテンツへの痕跡をネット上に残し、潜在的な被害者を誘い出すこと)などを含めることを政府に提案しています。さらに、OSBは少女や女性を対象としたオンライン暴力や虐待から保護するものであるべきだとも主張されています。

OSBは、「ユーザー間サービス」や「検索サービス」に該当する零細、中小、大企業を不当にターゲットにしているという指摘もあります。この法案は、これらの企業に不公平な規制負担を課し、コンプライアンス関連の高額なコスト負担を強いるというのです。英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)が実施した影響評価によると、約18万社のプラットフォームがこの法案の適用範囲に含まれるといいます。同報告書によると、これらの企業は法案の要件に「慣れる」ために960万ポンドから1750万ポンドを費やす必要があるといいます。

結論

OSBは広範な法律であり、違反した場合には多くの罰則が課されます。罰金の上限は、1800万ポンドまたはその企業のグローバル年間売上高の10%のいずれか高い方の数字に設定されています。更に、プラットフォーム所有者は、OSBを遵守しなかった場合、禁固刑に処される可能性があります。新法は複雑かつ厳罰であるため、新興テクノロジー企業はこの動向を注視し、早い段階で適格な弁護士に相談して、コンプライアンスを確保し、高額な執行措置のリスクを軽減することが必要です。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

チャプターとメタバース: デジタル空間における知的財産権係争事例

1000 649 David Hoppe

NFTは現在広く普及していますが、転売時に新所有者にどのような法的権利が付与されるかは不明確な場合が多いのです。NFTの基盤となる著作権や商標権の所有者は、NFTの所有者が保有すると考える権利と相反する合法的権利を主張する場合があります。本稿では、NFTと知的財産権(IP)、独占権等に関する法的問題を、最近の訴訟事例を踏まえて検討します。また、未解決の法的問題がメタバース等の次世代技術の開発に与える影響についても考察していきます。

著作権者による作品のNFT作成権

最近、ニューヨークのアートギャラリーTamarind 社は、「稲妻」または「インドのゲルニカ」として知られる長さ60フィートの壁画に基づく一連のNFTを発行する計画を発表した後、停止命令書を受け取りました。画家故マクブール・フィダ・フセイン(Maqbool Fida Husain)氏のエステートは、Tamarind社が2002年に40万ドルで故画家から購入したこの壁画の著作権を、同社が依然保持していると書簡で主張しています。Tamarind社はこれに同意せず、この購入により「すべてのデジタルおよびオフラインメディアを含む、アートワークのすべてまたは一部を「展示、マーケティング、複製、再販する」ための独占的、世界規模のロイヤリティフリー・ライセンスが付与されたと主張しています。

Tamarind社は、停止命令からの救済を求めて、2022年1月21日にニューヨーク連邦裁判所に、故フセイン氏の壁画に基づくNFTの作成継続ができるとする宣告的判決を求める訴状を提出しました。この訴訟の中で、Tamarind社はフセイン側がもはや作品や関連する知的財産の所有者ではなくなることに同意したとしています。

この訴訟は現在も係争中です。

商標権者によるNFT作成権

Tamarind/Lightning事例は、IPクリエイターが著作権や商標権を買い手に譲渡したか否かが焦点となっていますが、他のケースでは、買い手が明らかに商標権者の承諾を得ていないIPに基づいてNFTをミンティングすることがありました。例えば、米国の大手スポーツウェアメーカーであるナイキは、靴やストリートウェアなどのNFTを販売するオンライン・リセール・マーケットプレイス「StockX」を商標権侵害、商標権の希釈化などで提訴しました。同様に、エルメスは、バーキンの商標を侵害するNFTがあるとして、メイソン・ロスチャイルド(Mason Rothschild)氏を提訴しました。このような無断使用は、商標権者のNFTの権利に関する重要な問題を提起します。NFT市場が拡大を続ける中、商標権者は、自らの知的財産を保護し、商標を描写、或いは基にしたNFT商品化の独占権を主張する手段を講じるようになってきています。

ベネルクス知的財産条約は、商標権者に対し、第三者が同一または類似の商品および/またはサービスに、同一または類似の表示を使用することを禁止する権利を認めています。デジタル産業や多様な業界の関係者にとって、第三者が無断で商標を使用し、メタバース、拡張現実、ビデオゲーム、デジタル音楽・芸術、収集品、またはNFT関連に分類される商標を登録すると、商標侵害が発生する可能性が高いことを意味します。しかし、NFTはごく最近開発されたものであり、日々新しいユースケースが出現しているため、デジタル環境に関連する業界で商標を登録している企業はほとんどありません。現在、判例も決定しておらず、混乱に拍車がかかっています。商標権者は、自社のIPを完全に保護するために、メタバース、仮想空間、デジタルアート、NFTに関連する商品やサービスを包含する商標を出願する必要があります。

IP以外の申し立て

最近話題になったある事件は、NFTをめぐる権利の連鎖に疑問を投げかけています。Free Holdings vs. McCoy裁判では、原告のカナダ法人が、史上初のNFTとされるアーティスト、ケヴィン・マッコイ(Kevin’s McCoy)氏の「Quantum」を所有していると主張しています。Free Holdings社は、オークションハウスであるサザビーズが147万ドルでNFTを落札した際、その所有権を誤って譲渡したとし、ニューヨークの南部地方裁判所に提訴しました。Free Holdings社は、マッコイ氏が所有権を更新しなかったため、NFTの権利を取得したと主張しています。マッコイ氏がQuantumをミンティングしたブロックチェーンでは、250日ごとに所有者の権利を更新する必要がありますが、マッコイ氏は所有権を失効させ、NFTは何年も所有権が主張されないままだったとFree Holdings社は述べています。

この事件は、ブロックチェーン技術を使用してミンティングされたものを所有することは真に何を意味するのか、という問題を初めて取り上げたものとして重要です。ブロックチェーン技術は、永続的で議論の余地のない記録台帳を提供するとされていますが、その技術の複雑さが事態を混迷させています。ブロックチェーン間のコンテンツや所有権の譲渡に関する規約に一貫性がないため、混乱はさらに深刻化しています。今回の判決により、長年の課題であった判例が生まれ、ブロックチェーンに関連する所有権の見解が裁判所により確立されることになるでしょう。また、ブロックチェーンが、その支持者の多くが主張するようなゲームチェンジャー的イノベーションであるかどうかも明らかになるでしょう。

結論

これらの裁判は、ブロックチェーン技術やメタバースにおけるデジタル所有権の証明の有用性に大きな影響を与える可能性があります。NFTのミンティングは著作権者の独占的権利なのか、NFTはいつ、どのように商標権者の権利を侵害するのか、NFTのミンティングはIPを守る伝統的法理に反するのか、などの疑問に答えることが期待されています。もちろん、これらの裁判の中には、法的指針を示すことなく決着するものや、将来の裁判の一般的参考資料として使用できないような判例で解決されるものもあります。この裁判の結果にかかわらず、ブロックチェーン、メタバース、デジタル資産分野の企業は、定期的にNFTやその他の新興技術を専門とする弁護士や法律事務所に相談し、これらの分野におけるIPを取り巻く複雑さや技術について最新の法的アドバイスを受けることが必要です。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

ブルとベアとエイプ!? NFTに投資してみる

1000 649 David Hoppe

一般的にNFTと呼ばれる非代替性トークンへの関心は、この1年で過去最高に達しました。NFTは通常、デジタルアート、収集品、ファンタジーやeスポーツ、静止画像、ミーム、ビデオクリップオーディオファイル、そして増え続ける他のメディアから生成されます。これらのユースケースはトレンディーで潜在的な利益をもたらすため、多くのセレブリティやソーシャルメディアのインフルエンサーがNFTのミンティング、投資、ソーシャルメディア上でのプロモーションに魅了されています。Bored Ape Yacht Clubのオーナーには、スヌープ・ドッグ、 トム・ブレイディ、シャキール・オニール、セリーナ・ウィリアムズ、ジャスティン・ビーバー、ケビン・ハートなど、そうそうたる面々が名を連ねています。このようなアスリートや著名人の注目度も、機関投資家や個人投資家の関心を煽る火種となったのです。

ハイリスク投資トレンドであるNFT – 投資家が知っておくべきこと

アートNFTの価値は、その芸術的内容と同様に、拡散しやすく、非常に主観的なものであるため、不安定な投資となる可能性があります。その市場は気まぐれで、価値は数日間で急上昇したり、底をついたりします。富裕層以外の人がNFTへの投資を考える場合、NFTに関する情報は株式とは全く異なる方法で発信されていることに注意する必要があります。株式情報は、市場調査や証券会社、業界全体の動向などを通じて知ることができます。しかし、株式とは異なり、NFTに対する世間の認識は、ソーシャルメディアへの投稿やトレンド、口コミによるものが大きいのが現状です。そのすべてが信頼できるものではなく、偏った情報であったり、不完全なものであったりすることが多いのです。

さらに、NFT市場は非常に新しいため、一部のファイナンシャル・アドバイザーは、NFT投資に完全に手を出さないよう顧客に注意を促しています。また、NFTを購入する際には、値上がり益を期待するのではなく、あくまで楽しみのために購入することを勧める人もいます。つまり、空飛ぶ猫や無気力な猿に、住宅や子供の大学資金を賭けるべきではないのです。NFTは、受動的所得(passive income)や老後の資金作りのために頼るべきものではありません。多くの金融ストラテジストは、NFTへの割り当てを合計で5%未満とし、その投資が他の長期的な財務目標の妨げにならないよう多様な投資ポートフォリオを推奨しています。

NFT投資に関するベストプラクティス

それでも潜在的な報酬がリスクに見合うと判断される方は、以下のNFT投資のベストプラクティスをご参照下さい。

  • 自分自身で調査を行う:興味のあるNFT投資について十分に調査してください。チーム、取引履歴、セットアップ、実行、ソーシャルエンゲージメント数、アートワーク、オリジナリティ、希少性などを調査し、十分な情報に基づいて最適な判断を下しましょう。このトピックに関して優れたTwitterの投稿がありますので、こちらをご覧ください。
  • 販売者を慎重に審査する:NFTを販売する個人または組織のバックグラウンドを必ず調査してください。多くの有名人やNFTクリエーターが、偽のNFTを販売しようとするなりすましを引き寄せているため、これは非常に重要です。実際、多くの有名人やNFTクリエイターがNFTプロジェクトに参加し、完全な詐欺であることが判明しています。売り手について、可能な限り詳しく調べてください。最も一般的なNFTマーケットであるOpenSea、Foundation、Raribleを検索してください。特定の種類の資産に特化したニッチ・マーケットプレイスも存在します。また、自分が興味のあるタイプのNFTに特化したニッチなマーケットプレイスもリサーチしてみましょう。
  • ミドルグラウンドを意識する:知名度の高いNFTプロジェクトは、高価でアクセスしにくく、価値に対する値が高すぎることが多いものです。一方、低価格のプロジェクトは、参入しやすい反面、資金調達の可能性は低くなります。NFTへの投資に関しては、中間層を意識するのがベストです。
  • デジタルウォレットを作成する:デジタルウォレットは、NFTや暗号通貨トークンを「保管」するための場所です。様々なタイプのクリプトウォレットが存在しますが、間違いなく最良の保管方法は、暗号資産を様々な種類に分散させることです。
  • アカウントを作成する:暗号通貨を購入または取引するためには、銀行口座またはクレジットカードを取引所にリンクさせる必要があります。顧客確認(KYC)およびマネーロンダリング防止(AML)の要件は司法管轄区によって異なり、これには本人確認プロセスが必要とされる場合があります。本人確認手続きを正しく行うことで、常に自分自身を守ることができます。
  • 条件を交渉する:販売品によっては、契約に、前払金や将来の売上に対するロイヤルティを含めることができます。
  • 盗難や不正行為からの保護:クリプトは追跡が困難で、中央管理機関がなく、国際的なアクセスが可能であるため、ユーザーのデータ、暗号、パスワードに関するセキュリティリスクが大きい可能性があります。現金取引でさえも危険にさらされる可能性があります。サイバー賠償責任保険に加入することは、盗難や詐欺を最小限に抑えるための高価なオプションの一つです。盗難や詐欺を防ぐ他の方法としては、強力でユニークなパスワードを使用する、キーを決して共有しない、公共のネットワークやWIFIを避ける、暗号ハードウェアウォレットを使用する、クラウドに何も保存しない、などの常識的な戦略が挙げられます。もう1つの重要なポイントは、使用するすべてのアプリと暗号取引所のセキュリティ機能と評判を確認し、検証することです。
  • 知的財産権を侵害しない:NFTの原作者は通常、著作権を保持していることに留意してください。したがって、買い手と投資家は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが適用されるか、NFTの管理条件として基本的な所有権の譲渡が明示されていない限り、購入した特定のデジタル・物理的コピーとそのコピーを表示する権利のみを所有することになります。知的財産権は複雑になる可能性があります。特に知的財産権を求める場合は、信頼できるアドバイスを提供できる弁護士に相談する必要があるでしょう。
  • 税金面を考慮する:アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)は現在、暗号トークンを通貨ではなく財産と見なしていますが、1つ明確なことは、NFTはキャピタルゲイン税の対象であるということです。しかし、株式のような長期キャピタルゲインの優遇税率は適用されない可能性があります。NFTは、より高い収集品税率で課税される可能性さえあります。
  • 専門家に相談する:NFT投資の長、短期のリスクと影響の両方を理解するために、常に弁護士、会計士、ファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。サンフランシスコに拠点を置く法律事務所ガンマ・ローは、ブロックチェーン、暗号通貨、NFTの市場動向の最前線に立っています。 ガンマ法律事務所の弁護士は、NFT投資に関する適切な法的アドバイスの提供を専門としています。

NFTへの投資は人気がありますが、トークンは全体として不安定な資産クラスであり、しばしば高値つかみや仲介手数料等の手数料が課されることがあります。しかし、多くの富裕層投資家は、NFTへの投資に伴う金銭的リスクを喜んで受け入れています。DeVere社が最近実施した世界規模の世論調査によると、450人の顧客のうち、26%が2022年度末までにNFT投資をポートフォリオに加えたいと回答しています。しかし、暗号投資家のシーナ・エスタビ(Sina Estavi)氏が最近発見したように、価値の高いNFTは必ずしもその価値を維持できるとは限りません。2021年、エスタビ氏はジャック・ドーシー氏の最初のツイートのNFTを290万ドルで購入しましたが、2022年4月に売りに出したところ、入札額は1万4000ドルに達しませんでした。この話の教訓は、投資家はNFTに投資した資金を失う可能性があることを覚悟しておくべきということです。

NFTへの投資を検討されている方は、この分野に精通した弁護士に相談し、上記の議論がご自身や投資先にどのような影響を及ぼすかを理解されることが賢明でしょう。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

Terraの凋落: アルゴリズム型暗号通貨の地滑りから確かな足取りを求めて

1000 648 David Hoppe

今月、投機家、セレブリティ、富裕層だけでなく、多くの一般暗号投資家も暗号市場で大きな損失を被りました。ボラティリティが暗号通貨の世界を支配する中、比較的知名度の低い2つの暗号通貨コイン — アルゴリズム型ステーブルコイン「TerraUSD(UST)」と、そのガバナンストークンである「Terra(Luna)」トークンが深刻な事態に陥りました。かつて分散型金融(DeFi)通貨の中心的存在であったTerraプロジェクトが破綻したことで、アルゴリズム型ステーブルコインに内在するいくつかのシステム的リスクが浮き彫りになりました。

今年1月、このステーブルコイン・プラットフォームはルナ・ファンデーション・ガード(LFG)を設立しました。その目的は、「真の分散型経済を構築・促進するためのオープンソース・ソフトウェア及びアプリケーションの、より大きな経済主権、安全性、持続可能性を創造し提供すること」としています。その主権、安全性、安定性は、5月9日にTerraUSDの価格がペッグ価格である1ドルから1セントへと暴落したことで打撃を受けました。姉妹コインであるLunaも、2022年のピーク時から97%近くも急落しました。これらの急落は暗号通貨市場全体を揺るがし、旗手であるビットコインを含む他のコインの価値も大きく下げる原因となりました。ビットコインは過去1週間で25%、過去6カ月で50%以上下落しました。TerraUSDコインとその裏付けとなるTerra Lunaトークンは、現在は 実質上の無価値となっています。その結果、バイナンス、オーケーエックス、FTX など多くの仮想通貨取引所がTerraとLunaを上場廃止にしました。

アルゴリズム型ステーブルコインはDeFi革命とは言い難い

暗号通貨初心者には馴染みがないかもしれませんが、ステーブルコインとは、暗号通貨の通常の高いボラティリティを軽減するために、その価値が金や米ドルなどの別の資産に裏付けされている暗号通貨のことです。主要なステーブルコインには、テザー(USDT)、USDコイン(USDC)、バイナンスコイン(BUSD)、ダイ(DAI)などがあります。これらの「ビッグ4」は、合計で約1600億ドルの時価総額を持つ、最大のステーブルコインです。USDT、USDC、BUSDは、全発行済コインの裏付けとなる大量の米ドルを保有する中央集権的事業体を中心に構成されています。これらのコインを所有する投資家は、いつでも1ドルで換金できることが保証されています。一方、ダイ・ステーブルコインは、分散型自律組織(DAO)であるMaker DAOによって発行され、各コインは暗号資産の分散型ポートフォリオの担保価値によって支えられています。

TerraUSDは、ステーブルコインとして常に1ドルの価値があるように設計されていました。しかし、実際の資産担保型コインとは異なり、TerraUSDはTerraプロトコルを搭載したアルゴリズムを基盤としています。アルゴリズム型ステーブルコインと呼ばれるTerraUSDは、後述するスワップ手順を取り入れて、コイン価格の安定を試みています。このプラットフォームは、「オープンマーケット」と分散型オラクル投票を用いて、不換紙幣の価格に追随するステーブルコインを作成するとしています。アンカープロトコルに基づいており、ユーザーに対し最大20%の市場貸出利回りを提供します。

Terraプロジェクトに対する批判には、AnchorがTerraUSDとLunaトークンを人為的に支えているという懸念の声がありました。特に、20%という利回りは持続不可能であり、USTエコシステムのコインを購入する投資家を不適切に刺激していると指摘しました。Terraプロジェクトの投資家が焦り、USTの投資家がAnchorの口座からコインを引き出し始めたとき、Terraシステムの持続不可能性が確認されたのです。

Terraはなぜ崩壊したのか

TerraUSDとLunaの間に築かれた「自由市場」の均衡が崩れると、Terraは地上に急降下しました。投資家はUSTを購入し、TerraUSDと連動するAnchor口座に預けました。Anchor口座は、どの銀行が提供できるよりもはるかに高い、多くの投資信託がうらやむほどの金利がつく普通預金のような役割を果たします。Coindeskによると、購入されたTerraUSDの約75%(約140億ドル)がこれらの口座に預けられたといいます。インフレが進み、株式市場が低迷する中、20%の利息は多くの人にとって見過ごせないチャンスだったのです。

TerraUSDは、連動するLuna暗号トークンが変動しても、その価値を1ドルに維持するように設計されています。USTの価格が1ドルを超えると、Terraプロトコルは、ユーザーがLunaをバーン(焼却:供給量を減らして価値を高める)し、USTをミンティング(発行)して、1ドルの価値を維持できるようインセンティブを与えます。USTが1ドル以下になると、プロトコルはユーザーにUSTをバーンして、代わりにLunaをミンティングするように促します。Terraは、異なるTerraコイン・デノミネーション間、およびTerraステーブルコインとLunaトークン間のアトミック・スワップを可能にするマーケットモデルを採用しています。

この危機を受け、Terraプロジェクトはブロックチェーン上の取引をすべて停止し、新規取引はできなくなりました。取引再開が許可された時点で、損害はすでに生じていたのです。Terraプロトコルの欠陥により、取引所の外でLunaトークンが指数関数的にミンティングされました。疑うことを知らないLuna投資家は再びLunaを買い始めましたが、価格はさらに暴落しました。狂乱した投資家たちは、できる限り早く換金して、少しでもお金を取り戻そうとしました。多くの暗号取引所がメルトダウンのために取引を停止し、Terraプロジェクトに資金投入した強気の暗号投資家は、暗号取引所で損失を取り戻すことができなくなりました。

危機がワシントンのアクションを促すかもしれない

暗号通貨市場はここ数週間、深刻な打撃を受けています。パニックに陥った売り手がコインを売り払い、多くのコインが大幅に値を下げました。数百万人の投資家、特に小口投資家は、貯蓄や退職金の全額を失うなど、致命的な痛手を負いました。他のステーブルコインもTerraの運命によってダメージを受けましたが、その後回復しました。時価総額で最大のステーブルコインであるテザーは、95セントまで下落した後、1ドルに回復し足場を固めました。

イーサリアム創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏を含む多くの暗号保有者は、上記のような不利益を被ったTerra投資家が、金銭的な補償を受けられるようになるべきであると提言しています。具体的には、ブテリン氏は、そのウォレット保有者の99.6%を占める小口のAnchor利用者が損失補償されるべきであると提案しました。その方法として考えられるのが、連邦預金保険公社(FDIC)が支援する口座を通じて、1人あたり25万ドルまでの小口口座を保護することです。ブテリン氏は、これは前例のある措置だと主張しましたが、政府による直接の規制を提唱するには至りませんでした。

1933年の世界恐慌の余波を受けて設立されたFDICは、小口の銀行口座を保証し、それらが市場の暴落によって壊滅されることを防ぐための機関です。暗号投資家は暗号市場の規制を警戒しているかもしれませんが、FDICは、特にFDICが支援する金融機関がリスクを知らない消費者に暗号資産を販売することに関して、監視の需要が高まっていることを認識しています。FDICがこれに注目したのは、2022年3月にバイデン大統領が発布した大統領令が、「デジタル資産における責任あるイノベーションの確保」を米国政府に指示し、FDICにその技術的専門性を求めたことに端を発しています。

Terraプロジェクトが明らかにしたように、暗号通貨には一般消費者が気付かないような重大なリスクが依然として存在します。今回の暗号通貨の暴落は、小口の暗号消費者の保護と、「自由市場 」のための分散型ブロックチェーン基盤通貨を維持することとの間の議論を浮き彫りにしています。米国の銀行や世界中の伝統的な金融機関が暗号市場への関与を強める中、政府による追加規制は避けられないようです。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

ナイキ、スニーカーNFTを巡りStockXを提訴

1000 648 David Hoppe

現在評価額380億ドルと言われるStockXは、スニーカーとストリートウェアの大手オンラインマーケットプレイスですが、最近他の数十の小売業者と同様に、NFT市場に飛び込みました。そして今年初めに、StockXは実在するスニーカーのデジタルアバターコレクション「VaultNFT」を発表しました。その後間もなく、ナイキも2021年後半に買収したRTFKT Studiosを動員して、NFT市場に踏み込みました。そこでナイキはStockに対し、多数の知的財産(IP)侵害があると主張して訴訟を起こしました。ブロックチェーンと知財法が無法地帯の宇宙でぶつかり合うメタバースへようこそ!

本稿では、訴訟の展開とともにその法的問題点を考察します。

NFTの抗争の背景

消費者が高級なシューズやストリートウェアを売買できるオンライン市場であるStockXは、Quicken Loansの創業者・CEOのダン・ギルバート氏によって2015年に設立されました。その後、ジョシュ・ルーバー氏からStockXの前身であるスニーカー販売データのオンラインリポジトリであるCamplessを買収しました。eBayによく似た運営で、入手困難な高級な靴やストリートウェアを購入する消費者にとって、最も人気のあるオンライン・デスティネーションの一つとなりました。

2022年1月18日、StockXはVaultNFTsコレクションを発表し、多角的経営の一端としてNFT市場に参入しました。しかし、写真、図画、絵画などの純アート基盤のNFTを販売するのではなく、オンライン転売プラットフォームとして、在庫に保有する物理的なスニーカーのNFT基盤アバターシステムを構築したのです。これらのスニーカーは、イーサリアム・ブロックチェーン上のERC-1155トークンとして「保管権限の下で」ミンティングされます。このEコマース・プラットフォームは無数のブランドを販売していますが、VaultNFTアバターは、NFTを主にナイキブランドのシューズという物理的なアイテムに結びつけたことで、躍進を遂げました。

ナイキは、1回の7分間の販売で310万ドルを稼いだNFTスニーカーブランド、RTFKT Studiosを買収し、巨大スポーツウェア企業の存在を更に別次元に押し上げました。この買収は、スタイルと実質を重視し、先見性のあるエンジニアリングと革新的な素材を用いて、常に競合他社の一歩先を進むという、ナイキのスタイルに一貫したものでした。そしてナイキは2月に、StockXがブロックチェーンに登録された仮想商品において、商標権侵害、商標の稀釈化を行ったとして、他の関連訴訟原因とともに、ニューヨーク南地区裁判所に提訴しました

ファーストセール・ドクトリンと訴訟の詳細

本件の最大の争点は、「ファーストセール・ドクトリン」がデジタル商品に適用されるか否か、あるいはどのように適用されるかという点です。ファーストセール・ドクトリンとは、著作権者や商標権者は、CDなどの著作物を合法的に購入した消費者による、その商品の他人への転売、貸与、譲渡を妨げることができないとする法原則のことです。この原則は、著作権者が最初の販売した後に、購入者は著作物を配布(または転売)できることを認めています。ファーストセール・ドクトリンがなければ、個人、企業、非営利団体は、ナイキ商品の転売、小説の貸し出し、ノーマン・ロックウェルのオークションなどを行うことはできなかったでしょう。連邦著作権法はファーストセール・ドクトリンを成文化し、「本号の下で合法的に作成された特定のコピーまたはレコード盤の所有者、または当該所有者から権限を与えられた者は、著作権者の許可なしに、当該コピーまたはレコード盤の所有権を売却またはその他の方法で処分する権利を有する」と述べています。商標については、消費者を混乱させたり欺いたりする可能性がない限り、商標の付いた品目の転売は認められます。裁判所は、商標とファーストセール・ドクトリンについて、こうした制限を認めています。

ファーストセール・ドクトリンはデジタル時代以前のものですが、現在でも適用可能です。NFTはデジタル資産ですが、特にNFTが画像、スローガン、歌、スポーツクリップを表している場合は、著作権や商標が依然として適用されます。著作権上、ナイキのシューズをイメージしてミンティングされたNFTは、購入可能な実際の物理的資産にリンクされていますが、ファーストセール・ドクトリンは適用されるのでしょうか。StockXとナイキの関係について消費者が混乱したり騙されたりする可能性があるため、商標の例外が適用されるのでしょうか?これらの権利はどのようにバランスをとるべきなのでしょう。NFTの基盤となるアートの権利付与に適用される標準的条件がないため、この問題はさらに複雑です。一般的規則が公布されるまでは、これらの問題は断片的に解決されることになります。

今日まで、Nike vs. StockX訴訟は、NFT市場および一般的デジタル資産における所有権、創作の自由、パブリックドメイン、およびフェアユースに関して、答えよりも多くの疑問を生み出してきました。ナイキは訴状の中で、次のような5つの訴訟原因を提起しています。1) 15 U.S.C. § 1114に基づく商標権侵害、2) 15 U.S.C. § 1125(a)に基づく原産地虚偽表示/不正競争、3) 15 U.S.C. § 1125(c)に基づく商標の希釈、4) New York General Business Law § 360-1 に基づく ビジネス上の評判と希釈化の損害。5) コモンロー商標権侵害及び不正競争において陪審裁判及び金銭賠償を求める。Nナイキは、15 U.S.C. § 1065に基づき、連邦政府に登録したいくつかのシューズの商標を持っており、ナイキとStockXの間には協力関係がないため、StockXが違法に使用していると主張しています。一方、StockXは、「ナイキの商標を使って、VaultNFTのマーケティング・宣伝をし、潜在的な購買者を引き付けている」といいます。

ナイキは、「StockXは、独自の知的財産権の開発に時間を費やすことなく、むしろナイキの有名な商標と関連する営業権を背景に、ほぼ独占的に露骨にフリーライドすることによって、NFT市場で競争することを選んだ」と主張しています。さらに、ナイキは、StockXのフットウェアをベースにしたVaultNFTは、「ナイキの有名な商標の無許可かつ侵害的な使用 」にあたると訴えています。ナイキの弁護士は更に、StockXがナイキブランドのNFTを「投資可能なデジタル資産」として「ミンティング」し、「過度につり上げられた」市場価格で、これらのトークンがナイキによって承認されていると思い込んで購入する「疑うことを知らない消費者」に販売したと述べています。

ナイキは、現実のスニーカーの著作権及び知的財産権を所有し、VaultNFTのアバターはこれらの権利を侵害している、と主張しています。VaultNFTの所有者は、StockXが契約上でシューズと引き換えない権利を行使しない限り、アバターを本物のナイキシューズの入手コストの割引クーポンとして「交換」することができます。さらに、ナイキは、販売、流通、宣伝、広告のために州際通商でその商品・サービスに関連して使用される主張商標のコモンロー上の権利を有しています。同社は、現在の商標出願でその使用を拡大し、自社のNFTでバーチャル市場に移行するつもりであると主張しています。

最終的にナイキは、このケースではファーストセール・ドクトリンは適用されず、知的財産権はシューズの販売とともに譲渡されないため、保持することができると主張しているのです。一旦シューズが店舗で販売されると、ナイキはその流通や再販売方法について口を出すことはできません。しかし、ナイキは、そのイメージがどのように使用され、誰がそこから利益を得るかについて発言権を有している、と述べているのです。

一方で、StockXは、同社の各VaultNFTは、同社のマーケットプレイスで販売されている特定の商品(StockXが権利者/消費者から中古で購入した商品)に関連していると主張しています。同社は、ナイキのブランド名と画像を使用する権利は、ファーストセール・ドクトリンに該当し、著作権の問題はないとしています。さらに、ナイキの知的財産権は、最初の販売以降のシューズの取引をコントロールする権利をナイキに与えるものではなく、従って、StockXは小売業者または個人からシューズを購入し、転売およびマーケティングプロセスの一環として、限定的にナイキのブランドおよびイメージを使用し、好きなように再販することができる、と述べています。StockXは、同社のNFTは、同社のマーケットプレイスにおけるナイキシューズの転売に関連したものであり、ナイキシューズのデジタル版を作成するオリジナルNFTではないと主張しています。むしろ、NFTはブロックチェーンに記録されるこれらの商品の所有権の証明であると述べています。

著作権は、資産や財を契約によって分割することが可能です。この点はブロックチェーンに記録できるため、追跡可能となります。しかし、NFTは不可分な資産とみなされ、暗号通貨のように分割して保有することはできません。おそらくNFTはソフトウェアと同様に進化し、NFTのクリエーターが著作権のある製品を公開するためには、知的財産権所有者からライセンス権を取得する必要が出てくるのでしょう。NFTやブロックチェーン関連の法律は、こうした新技術に対応するため、今も進化中と言えます。今後の展開として、Nike vs. StockX訴訟は、NFTやブロックチェーンに関連する知的財産権がどのように発展していくのか、新たな法的洞察を与えてくれそうです。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

Bored Apesはパンクのライセンスで猿まね?

1000 648 David Hoppe

数週間にわたりネット上の噂や憶測が広まった後、3月12日にNFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」と「Mutant Ape Yacht Club(MAYC)」を手がけるYuga Labs社は、モバイルソフトで知られるLarva Labs社からCryptoPunks(クリプトパンク)とMeebits(ミービッツ)を買収すると発表しました。BAYCは、1万匹のユニークな退屈な類人猿を集めた人気NFTコレクションで、著名人が群がる中、総売上高10億ドル以上を記録しています。今回の買収により、Yuga Labs社は423のCryptoPunksと1,711のMeebitsを所有することになりました。本稿では、この買収の詳細とそれが新興技術企業にもたらす意味、そしてNFTの知的財産所有権・権利に関する具体的な問題について考察します。

知的財産所有権

今回の買収により、知的財産所有権はLarva社からYuga社に移行し、Yuga社は両コレクションのブランド、アートワーク、その他の知的財産所有権を所有することになります。この所有権の変更により、今後、CryptoPunksとMeebitsの所有者は、BAYCの所有者と同じ商権を与えられることになります。つまり、同様の仕組みによって、コレクションを商品化することが可能になるのです。Yuga Labs社は、これによりメタバースやその他の関連プロジェクトにおいて、両コレクションの存在感が増すと期待しています。しかしながら、Larva Labs社のプロジェクトは、既成のコミュニティを持つ歴史的なコレクションであることをYuga Labs社は認めています。そのため、BAYCで使われた「クラブ」モデルは採用していません。

知的財産権ライセンス契約

CryptoPunksの所有者が自分のアバターに関して持つ権利と、関連するライセンスについては、いくつかの混乱があります。Larva Labs社がCryptoPunksのNFTを開始したとき、同社のウェブサイトは利用許諾契約について議論せず、コンテンツライセンス、アートワーク、キャラクターの許容使用範囲も提示していませんでした。その契約条件にも、ライセンス規定はなく、著作権や商業利用についても触れていませんでした。2021年12月、複数のCryptoPunks NFT所有者が、ライセンス供与とIP問題に関してLarva Labs社からのコミュニケーションとガイダンスが欠如していることに不満を表明しました。NFT保有者、ミンター、取得者、その他の関係者は、下記のような疑問点について熟考することになったのです:

  • ライセンスの範囲はどうなっているか。

  • どのような場合にライセンスが取り消され、終了させられるのか。

  • DMCA規定の有効性はどの程度か。

  • NFT の発行後、NFT ミンターが利用許諾契約を採用することはどの程度まで可能か。

  • NFT におけるリコールは、法的にどのような意味を持つのか。

YugaLabs社によるCryptoPunks NFTの買収は、このような問題のいくつかを明確にするのに役立つはずです。

構造とモデル

歴史的に見ると、Yuga Labs社とLarva Labs社の知的財産権の取り扱いには大きな違いがあります。Larva Labs社は当初、創作物の知的財産権を保持し、一方でYuga Labs社はNFT所有者に商権を付与していました。Yuga社は、この買収はCryptoPunksとMeebitsの所有者に「BAYCとMAYCの所有者が享受しているのと同じ商権」を与えた、と述べています。この取引は、NFTの販売構造にはいくつかの方法があることを示唆しています。NFTは、単独で販売することも、他商品と組み合わせて販売することも可能です。デジタル技術、ライセンス供与等の取引の経験が豊富な弁護士は、同様の資産譲渡を検討中の当事者に貴重な助言を提供することができます。

DMCAテイクダウン通知

法的条件が明確に記述されていないことと、購入決済プロトコルにバグがあったことから、Larva Labs社はCryptoPunksの問題についてOpenSea NFTマーケットプレイスにデジタルミレニアム著作権法(DMCA)のテイクダウン通知を出しました。OpenSeaはこれに応じ、Larva Labs社がバグを修正した後、同一の修正版アバターと交換したオリジナル版を廃止しました。オリジナル版 CryptoPunksの所有者は、DMCAへの反対通知で、削除通知の正当性に異議を唱え、OpenSeaによる復活を求めました。オリジナル版 CryptoPunksは最終的に復活しましたが、Yuga Labs社が今後この問題をどのように扱うかはまだ不明です。CryptoPunkのNFT所有者が、ミンターのテイクダウンに対応してNFTマーケットプレイスに異議申し立て通知を提出することが認められるのか、それとも何か他のメカニズムがあるのでしょうか?

結論

Yuga Labs社によるCryptopunksの買収は、NFTに関する著作権所有とライセンス供与に関する重大な抜け穴を露呈しました。NFTの究極の経済的可能性は、当該ライセンス付与における商品化条件の範囲内にあるため、利用許諾書条件を明確に定義することの重要性が浮き彫りとなりました。経験則上、ライセンス契約は、NFT のゴールドラッシュに乗ろうとする新規の創生的ビジネスモデルよりも、すでに確立されたブランドが優遇される可能性が高いと言えます。NFT分野に参入する既存企業および新規企業は、NFT関連のライセンス契約を結ぶ前に、NFT、知的財産、ライセンス供与、およびそれらの幅広い法的影響について最新の専門知識を有する弁護士に相談する必要があります。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

ファンジブル・ファンディング: NFTのクラウドファンディングへの活用

1000 638 David Hoppe

最近、NFT(非代替性トークン)を活用して資金調達を試みる企業が増えてきています。NFTは、その適応性や柔軟性、更に構造から、ブロックチェーン上でユニークな商品の所有権を認証により譲渡させることができるため、伝統的ベンチャーキャピタルとコーポレートベンチャーキャピタル、デットファイナンス、株式売却に代わる有力な資金調達手段として注目されています。NFTは、スニーカーやアスリートのデジタル画像、あるいはツイートなど、ほぼ全てのものから制作・ミンティングすることが可能です。しかし、このようなNFT固有の特性は、複雑な問題を引き起こす可能性があります。本稿では、クラウドファンディングや資金調達にNFTを利用する前に、企業が留意すべき法的検討事項を考察します。

背景

クラウドファンディングのキャンペーンは、株式ベースか非株式ベースかにかかわらず、プロトタイプの構築、製品の発売、マーケティング キャンペーンの実施など、企業が特定のキャンペーン目標を達成するために資金を提供してくれる参加者を募るものです。このような参加行為は、寄付を記録するNFTとしてコード化され、募金キャンペーンに投資したすべての人によって所有されます。最近では、ユニセフ世界自然保護基金などの非営利団体が、資金調達にNFTを利用しています。ユニセフは、国連設立75周年を記念して、教育や子供たちのチャリティー資金とその意識向上のために、1,000のNFTを立ち上げました。営利目的の企業も、NFTによる資金確保のために同様の戦略を採用することができますが、その前にいくつかの重要な法的留意点を考慮する必要があります。

1.) 証券としてのNFT

証券取引委員会(SEC)は、資金調達のためのNFTの利用が従来の有価証券に酷似しているか、したがって規制の対象にするべきかを調査しています。NFTが「証券」の定義に該当するかどうかを判断するために、規制当局は「アメリカ証券取引委員会対W. J. Howey社事件」の判決で確立された主要なガイドラインを適用しています。この判決で、米国最高裁判所は、取引が「投資契約」に該当し、1933年証券法および1934年証券取引所法に基づく開示・登録義務の対象となるかどうかを判断するための4項目のテスト(後の「Howeyテスト」)を定めました。

  1. 資金を集めているか。

  2. NFTは共同事業を代表しているか。

  3. 寄付者は、利益を得ることを期待して投資しているか。

  4. その利益は他の人の努力のみから生じるものか。

これら4つの質問すべてに「はい」と答えた場合、NFTは証券法の対象となる投資契約に分類されます。クラウドファンディングを目的としたNFTがこの定義に該当することは容易に想像がつきます。NFTによる資金調達に、証券法の遵守が必要となるかどうかについては、NFT分野に精通した証券専門弁護士に相談されることをお勧めします。

2.) 担保としてのNFT

クラウドファンディングやその他の資金調達にNFTを利用する最大のメリットの一つに、融資を確保するための担保としての位置づけがあります。他の有担保ローンと同様に、借り手が返済を怠った場合、貸し手は担保を差し押さえることができます。しかし、NFT融資の場合、NFT所有者は自分のトークンを担保として提供することで、ERC20トークン、ステーブルコイン、その他の暗号通貨、または不換通貨という形でお金を借りることができます。借り手がローンの返済を怠った場合、借り手はNFTの所有権を喪失するリスクがあります。更に借り手が債務不履行に陥った場合、NFTは貸し手に譲渡され、貸し手が新たな所有者となります。一般的に、貸し手にとっては、貸出額が常にNFTの価値を下回るため、債務不履行は有利となるでしょう。

現在、新興企業がNFTを利用して資金調達するためのプラットフォームはほとんどありません。しかし、NFT融資の傾向が強まるにつれ、いくつかの既存プラットフォームが市場に参入しています。このようなプラットフォームのひとつであるArcadeは、個人および新興企業に対し、NFTを担保として独立系金融機関やエンジェル投資家から資金を調達する手段を提供しています。このプラットフォームは、膨大なNFTコレクション保有者が、デジタル資産を売却することなく、投資活用する方法を提供することを目的としています。借り入れ条件はプラットフォームによって異なります。

3.) 投資家を惹きつけ、投資価値を最大化するためのNFT活用

大まかに言って、スタートアップ企業の創設者は、投資家の獲得、市場シェアの拡大、出口価値の最大化という3つの大きな目標達成を望んでいます。NFTは、これらの目標のうち1つまたは複数を達成するために起業家を支援することができるのです。例えば、ビデオゲームのスタートアップは、NFTを利用してソフトウェアの配布を制限し、追跡することができます。NFTに関連する知的財産の所有権を認証することで、海賊版ソフトと正規ライセンスソフトを区別することができます。これによって、収益を保護、増加させ、企業と株主の双方にメリットをもたらすことができるのです。スタートアップ企業、特にソフトウェア販売企業は、正式な知的財産権保護の一時的な代用品としてNFTを活用することができるでしょう。同時に、NFTは従来の著作権や商標の保護に代わるものではなく、販売規約やライセンス契約に明示されていない限り、基本的なコンテンツの所有権は付与されないことを理解しておくことが重要です。

どんな企業やスタートアップでも、NFTを資金調達手段として利用することができます。米国証券取引委員会が発表したNFTを証券とする通達は、米国法における証券の定義がかなり広範囲に解釈される可能性があることを示唆しています。しかし、評論家は、Howey Testの基本的な論理はNFTのようなデジタル資産には適用されるべきではないと指摘しています。ビジネス上および法律上の問題が未解決であることから、NFTを利用して資金調達を計画している新興技術企業は、NFTの利用が証券関連法に抵触しないよう、弁護士に相談することをお勧めします。米国証券取引委員会コミッショナーであるへスター・パース(Hester Peirce)氏は、特定のデジタル資産が投資商品とみなされ、米国証券法に適用される可能性があると注意を促しています。法的にはグレーゾーンであることから、企業は慎重に対応する必要があるでしょう。

ガンマ法律事務所は、サンフランシスコを拠点とし、最先端のビジネス分野で選ばれたクライアントをサポートする法律事務所です。複雑でダイナミックなビジネス環境において成功し、イノベーションの限界を押し広げ、米国内外でビジネス目標を達成するために必要なサポートをクライアントに提供しています。お客様のビジネス・ニーズについて、今すぐご相談ください。

Games Esports Blog