Epic対Appleの最新のまとめで 裁判官が分割判定

Epic対Appleの最新のまとめで 裁判官が分割判定

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Epic対Appleの最新のまとめで 裁判官が分割判定

1000 648 David Hoppe

Epicは、『フォートナイト』をApp Storeに戻すこととデベロッパーアカウントの再設置を求めて、再び予備的差し止め命令の申し立てを申請しました。Epicは、Appleの反競争的な行動と法外な手数料構成に対抗して奮闘を続けていますが、9月4日に申請されたこの申し立ては、その最新の動きです。

この提起でEpic側は報復テーマを倍返しにしています。

Appleは猛反発し、Epicが予測したように『フォートナイト』をApp Storeから削除しただけでなく、EpicのすべてのAppleデベロッパープログラムアカウントを解消し、一般に幅広く使われているソフトウェアツールへもEpicがアクセスできないようにすると息巻いています。これは、Appleの独占状態にあえて挑戦しようとする他のデベロッパーに対し、「こちらのルールに従わないなら、何十億人ものiOS利用者へのアクセスをカットする。挑戦するなら、ビジネスを潰す」という明らかな警告です。

Epicは主に、Appleが『フォートナイト』をApp Storeから削除し、デベロッパーツールに対しても同様の措置を取ると脅迫した時に出された、当初の一時的な抑制命令と予備的差し止め命令に対する同じ点を繰り返し論争しています。Epicは、Appleが競争の根を止めており、デベロッパーが30%の手数料が必要なAppleのアプリ内購入メカニズムを使用するように要求して、iOSアプリのディストリビューションを独占していると主張し続けています。

Epicは、8月24日の審問会でも同じ点を主張しており、それに対し裁判官は、当事者のどちらにとっても「確実に勝てる」案件ではないと言い渡しました。予備的差し止めを求める場合、当事者は修復不能な損害を被ることを証明しなければならないだけでなく、完全裁判において真価に基づき勝訴する可能性が高いことも示さなければなりません。ゴンザレス・ロジャーズ(Gonzalez Rogers)裁判官の前言と裁定を考えると、独占禁止法に関する訴訟に勝訴すると考えるEpic側の想定には同意していないのかも知れません。弊所では、ロジャーズ裁判官が一時的な抑制命令と予備的差し止め命令に対するEpic側の2度目の試みを否定するのではないかと予測しています。

そのような考え至った経路を以下に示します。

8月14日、AppleはEpicに対し、Epicが「Appleデベロッパプログラムのライセンス契約に対する複数の違反を14日以内に解決しない限り」Appleデベロッパプログラムのアカウントを解消すると発表しました。それに対しEpicは、一時的な抑制命令と予備的差し止め命令を求める申し立てを申請しました。Epicは、もしAppleが「報復」の試みを実行することを許可されれば、Epicは修復不能な損害を被ると論議しました。

8月21日に申請されたそれに対する提起で、Appleは盗難を阻止しようとしているとしてEpicを攻撃し、「デベロッパーがデジタルチェックアウトを回避できれば、顧客が万引きした商品の対価を支払わずにAppleの小売店を出るのと同じことになり、Appleには何の収益も入らない」と主張しました。

Epicはその2日後に返答し、AppleがEpicのデベロッパーアカウントを解消することは、「やり過ぎた報復」であり、「敢えてAppleに対抗しようとする者の行動を押さえつける」試みだと議論しています。Microsoftは、ゲーミング・デベロッパ・エクスペリエンス部長のケビン・ガミル(Kevin Gammill)氏を通してEpicを支援する声明を発表しました。Gammill氏は、EpicのUnreal EngineはMicrosoftを含むゲームデベロッパーにとって「重要な技術」であると説明しています。多くのデベロッパーがUnreal Engineなどのサードパーティーのゲームエンジンを利用しています。もしEpicがUnreal Engineをサポートできなくなれば、多くのデベロッパー(特にゲーム開発の後期の段階にあるデベロッパー)が、サンクコストやスイッチングコスト、これまでに費やした努力の面で非常に大きな影響を受けることになり、Appleのプラットフォームを遺棄して最初から開発をやり直すか、開発そのものを停止することになります。Appleにすでにゲームをリリースしたデベロッパーも同様に困難な状態に置かれます。「ゲームエンジンが新しいiOSやmacOSの機能を利用してアップデートの開発をしたり、ソフトウェアのバグを修正したり、セキュリティ上の欠陥を解決できなくなれば、すでにiOSやmacOSでリリースされたゲームに悪影響を及ぼします(その結果、ゲーマーも被害を被ります)。また、この状況はゲームのプレイヤー基盤を分岐させることになり、 iOSやmacOS上のゲーマーがそれ以外のプラットフォームでプレイしている友人や家族とはコミュニケーションを取れなくなってしまいます」とガミルさん記述しています。

8月24日の審問会で、イヴォンヌ・ゴンザレス・ロジャーズ(Yvonne Gonzalez Rogers)裁判官は、Epic側の弁護士に以下のように述べています。

この状況を作り出したのはあなたのクライアントです。Epicは決して清廉潔白な状態でこの法廷に来たのではありません。Epicは戦略的に違反を犯すことを計算し、新シーズン直前にそれを実行する決定をしました。私の意見では、自ら損害を生み出しておきながら、修復不能な損害を訴えることはできません。Epicが本来の状況に戻れば、誰も被害を被ることはないのです。

Epicは「競合に反する契約には戻れない」と議論したものの、AppleはEpicの行為に対する裁判官の陳述を予感したかのように、過去にEpicを「自傷行為」を犯したとして訴えています。

しかし、これでAppleの全面勝利になる訳ではありません。ロジャーズ裁判官はAppleを欺瞞的行為で避難しているからです。具体的に言うと、AppleはEpic GamesとEpic Internationalとの契約を分離しており、Epic Internationalの契約にはUnreal Engineが含まれています。ロジャーズ裁判官は以下の陳述をしています。

Epic Internationalとの契約には違反は発生していません。AppleはEpic Gamesとの単一の契約を超えて、それを利用しようとしており、Epic Gamesを追加的な罰則で打ちのめそうとしており、そのことは報復行為であるように私には思えます。AppleのプラットフォームやデベロッパーのエンジンでUnreal Engineに影響を及ぼさないように抑制したとしても、Appleに何らかの損害があるようには思えません。

同日、裁判官はEpicが要請した一時的な抑制命令を一部許可し、Unreal Engineの開発ツールへのEpicのアクセスをAppleが解消できないようにしました。裁判官は、Epicが「修復不能な損害を予備的には示していると言えます。Appleは非常に厳しい行動に出ており、そうすることで無関係な人々やサードパーティーのデベロッパーのエコシステムに影響を及ぼしました。この意味では、衡平法はAppleに不利と思えます」と述べています。

しかし、ロジャーズ裁判官はApp Storeに『フォートナイト』を戻させると言うEpicの要求は通しておらず、「Epic Gamesは、戦略的にAppleとの同意に違反することを選択したのであり、それが現状を変えてしまいました。法廷がEpic Gamesに有利な状態を課すべきであることを示すような衡平法は識別されていません。この命令は9月28日に予定されている審問会の終了後に、予備的差押えの命令申請に対する最終命令が出されるまでは、効力を保つものとします。」と裁定しています。

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David Hoppe

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