No Freaking Thanks:ビデオゲームにおけるNFTへの反発

No Freaking Thanks:ビデオゲームにおけるNFTへの反発

No Freaking Thanks:ビデオゲームにおけるNFTへの反発

1000 648 David Hoppe

ビデオゲームは、歴史的に見て新しい技術開発の原動力となっています。NFT(非代替性トークン)と呼ばれる暗号技術を基盤とした資産が初めて登場したとき、ビデオゲーム開発者は電光石火のような勢いでこれを採用しました。一夜にして、多くのPCおよびコンソール向けビデオゲームが、ゲーム業界の拡大および収益増大のために、NFTをプラットフォームに組み込むことを発表したのです。最初の印象では、NFTは興味深く、斬新なアイデアでした。ブロックチェーンゲームのユニーク・アクティブ・ウォレットは、2022年3月までの12カ月間で2,000%増加し、25億ドルの投資を獲得しています。ゲーマーは、NFTを購入してゲーム内のキャラクターをスキンやツールなどのアイテムで改良できることに興味を持ったようですが、NFTがゲームに登場し始めた直後から反対の声が上がりました。NFTをゲームに組み込む計画を発表したゲーム会社に対して、反対派の声はますます高まっています。

その結果何が起きたのか?

一部のゲーマーは、NFTによって、ゲーム購入時に含まれるはずの機能を有料でアンロックさせられるという発想に憤慨しました。また、ゲーム内でNFTを入手するために必要なリソースを削ることは、多くのゲームの楽しみを奪うことになると主張する人もいました。多くのプレイヤーは、NFTのゲームへの組み込みを、ゲーム会社がプレイヤーからより多くの金銭を搾取しようとする、新たな略奪的な試みとみなしています。ゲーマーはNFTや 暗号技術の導入をめぐって、ユービーアイソフト、スクウェア・エニックス、ジンガなどの大手ゲーム開発会社と衝突しました。

一方、多くのゲーム会社は、NFTをブロックチェーン上のデジタル資産を認証するための手段と捉え、プレイヤーがオンラインマーケットプレイスで利益を得るために販売できる所有権の証明であると説明しています。ゲーム会社は、NFTをゲームに組み込むことで、コミュニティや「Play to Earn(遊びながら稼ぐ)」の機会を構築できると主張し、NFTはゲームプレーヤーやNFTアーティストをサポートしている、という立場を取っています。しかし、多くのゲーマー、特にダウンロードコンテンツ(DLC)や戦利品の箱で苦い経験をしたゲーマーは、まだ納得していないようです。ゲーム会社がブロックチェーンの利点や転売価値を挙げて区別しようと試みても、極めて声高に主張するゲーマーは断固として譲りません(これは、2000年代初頭のWorld of Warcraftを取り巻く状況を彷彿させるものです)。

NFTはゲーム内アセットや人気の高いアイテムを独占的に提供できるため、数千ドルもの価値となり、一般のゲーマーには到底手が届かない存在となる可能性があります。ゲームの民主化、包括化とは程遠く、「勝つためにお金を払う」余裕のあるプレイヤーに報酬を与え、ゲームの場をこれまで以上に不平等なものにしてしまうかもしれません。さらに、ゲーム愛好家の中には、価値の高いNFTの導入により、ゲーム価格が大幅に上昇し、「コミュニティ」からさらに多くのプレーヤーが排除され、ゲーム体験が希薄化することを懸念する人もいます。

さらに、NFTとその所有者を狙った詐欺、盗難、ハッキングについても、ゲーマーから大きな懸念が寄せられています。NFT取引には、マネーロンダリングなどの違法行為がつきものです。ゲーム業界はすでに詐欺、スパム、不正行為の温床となっており、多くのゲーマーは、NFTは社会の悪い要素をさらに引き寄せるだけだと考えているのです。NFT市場は厳しく規制されていないので、ゲーマーが騙される脅威は現実のものとなっています。マーケットプレイスのItch.ioは、NFTブームを「詐欺」「一攫千金」、怪しい連中がゲーマーから搾取する手段、とツイートで非難するなど、反NFT派の意見を代弁しています。Axie Infinityのブロックチェーンがハッキングされ、6億2,500万ドルが盗まれるなど、セキュリティ上の問題も山積しています。

ゲーマーたちは、NFTミンティングとブロックチェーンが世界環境へ与える悪影響も批判しています。主要なNFTブロックチェーン・プラットフォームであるイーサリアムは、リビア全土と同量の二酸化炭素を大気中に放出しているのです。NFTをミンティングし、売買する際に発生する膨大なエネルギー消費は、気候変動の原因となる二酸化炭素の排出を生み出します。NFTのカーボンフットプリントは非常に大きく、1つのクリプトアートの販売で8.7メガワット時のエネルギーが消費され、これはアーティストのスタジオの2年分のエネルギー使用量に相当します。

一部のゲーム会社は反NFT派の意見に同調しています。エレクトロニック・アーツ(EA)、Team17、Epic Gamesは、NFTの取り組みにブレーキをかけました。Discord、STALKER 2、MetaWormsは、ゲーマーからの反発を受け、NFTプロジェクトを中止しました。Steamは、オンラインゲームプラットフォームからすべての暗号通貨とNFTを禁止しています。さらに、Mojangは2022年7月、同社の大人気ゲーム「Minecraft」からNFTを禁止すると発表し、ゲームとNFTコミュニティに衝撃を与えました。プレイヤーにとって安全で包括的な体験を育むことを理由に、Minecraftはブロックチェーンサーバーの統合を禁止しています。

いくつかのゲーム会社がNFTを放棄し、あるいは少なくとも後退りしているにもかかわらず、NFTを採用し続けている企業もあります。

おそらくこれらの企業は、自分の活動からNFTを獲得できる可能性に興味を持つ「サイレント・マジョリティ」のゲーマーを引きつけることに賭けているのでしょう。今年初めに1,500人のプレイヤーを対象に行われた調査では、NFTを獲得するためのプレイに「興味がない」または「あまり興味がない」と答えた人はわずか23%でした。実際、この調査では、ビデオゲームを利用してNFTのコレクションを増やしている人が4パーセント、さらに獲得したNFTを売却してプレイを収益化している人が12パーセントと、3分の2以上がすでに実行していることが判明しました。本調査を提供したInterpret社は、「45%以上がゲームを通じてNFTを獲得できれば、現在のゲームへの関与度が高まると回答しており、NFTは(ライブサービス型ゲームにとって極めて重要な)リテンションに大きな役割を果たす可能性がある」と述べています。ゲーム業界がこの新モデルをどのように位置づけるのがベストなのかを検討する中で、最終的には、ゲーマーの心理は「Play to Earn」の方向へ向かうと、Interpret社は予想しています。NFTはプレイヤーにパワーシフトをもたらし、ゲーム内外で獲得したアイテムの真のオーナーシップをより実感させるものなのです。

結論

ゲーム会社は、NFTを利用してゲーム体験を向上させる一方で、NFTを利用できない、または利用を拒否するゲーマーの体験は損なわれてしまうというバランスを考慮しなければなりません。プレイヤーのセキュリティやサポートのニーズを十分に配慮し、環境への影響を最小限に抑えることが、ゲーム内NFTの将来性の向上につながることは間違いありません。GameStopがNFTマーケットプレイスの構築を進めているのは注目すべきことです。また、Minecraftの世界にフィットするNFTを販売していたNFT Worldのように、Minecraftの競合製品を開発するなど、他の選択肢を模索することを明言する企業もあります。しかし、現在、急成長している暗号通貨基盤のゲーム市場は、転換期を迎えています。ゲームおよびNFTの業界はまだ進化を続けていますが、ゲーム会社のNFTへの情熱は、当分の間、冷めたままかもしれません。

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Author

David Hoppe

All stories by: David Hoppe